■野営で使うナイフに必要な条件とは?
私が野営で使うナイフに必須だと思っている条件は、以下の3点です。
1.フルタングであること
2.刃渡り10cm以上
3.刃厚4㎜以上
フルタングとは、鋼材がグリップまで1枚でできているナイフのことで、バトニング(薪に刃を当てて、ナイフの背の部分を他の薪で叩くようにすること)をする際にナイフの鋼材が分かれていると、ナイフが割れてしまう恐れがあります。
また薪を割る際、刃渡り10cm以上なければ細い枝しか対応できません。太い薪を割るにはより長い刃渡りのナイフが便利ですが、料理などで使う際、刃渡りが長すぎると取り回しにくくなるので注意が必要です。
刃厚に関してですが、これ以上薄いと薪を割る時(バトニング等)の力が弱く、太い薪は割れません。また、チョッピンク(ナイフの先端を木に叩きつけ枝払いや、木を切るために空手チョップのように叩くこと)の際の力も弱く、ある程度の厚みがあり、重さがあることが望ましいと言えます。
■愛用する厳選ナイフ2振り
薪を切ったり、軍幕を設営したり、調理したり…自分の野営スタイルを確立していく中で、小さいものから大きいものまでさまざまなタイプのナイフを使ってきました。自分のスタイルを構築できた今、改めてナイフをセレクトすると、以下の2本が自分にとっては最適です。
ではなぜ2本かと言えば、それぞれ用途が異なるためで、野営時には基本的に2本を携行。今回はその2本について、どんなところがいいのか、どう使っているのかを解説していきます。
■タフで万能。あらゆる面でバランスの取れた1本
ファルクニーベン 「A1」
全長:280㎜
刃渡り:160㎜
ブレード厚:6㎜
重さ305g
タング:フルタング
この「ファルクニーベン A1」は、この3つの条件がそろっていて、チョッピング、バトニングからクラフトまで万能にこなせるナイフ。数々の名刀を作り上げてきた日本で生産されているのも魅力です。
個人差はありますが、フェザースティック(着火しやすくするために薪を毛羽立たせて削る)を作成する際は、コンベックスグラインド(ハマグリ刃)の方が薪に食い込まず作りやすいと思います。このナイフはフェザースティック作りにもちょうどよいコンベックスです。
もし野営にナイフを1本しか持って行けない状況に遭遇したら、私は間違いなくこいつを連れていきます!
■細かいクラフトや調理に適した1本
バレステリカ「スクラマ ミニ」
全長:185㎜
刃渡り:83㎜
ブレード厚:3㎜
重さ145g
タング:フルタング
タフに万能に使うナイフはファルクニーベンに任せ、細かいクラフトや調理部門を担当するのが「スクラマミニ」。
携帯しやすいサイズ感のため、常にキャンプ中は身に付けており、枝の先端を削ったり、ファイヤースチールを擦って着火をしたり、調理をするのに重宝するサイズ感。
刃の形状はスカンジグラインドのため、研ぎやすく、メンテナンスがしやすいことから、私は調理に使用しています。以前調理用のナイフは、折り畳み式のナイフを使っていたのですが、汚れが折り畳んだ方の柄の中についてしまったり、可動部分に汚れがたまったりと、メンテナンスが大変でした。そして、この刃の形状でもフェザースティックを作ることもできますし(スカンジグラインドの方が作りやすい人も多い)、コンベックスグラインドよりはパワーが落ちますが、バトニングもフルタングなので可能です。
侍の刀で例えるならば、スクラマミニは脇差で、ファルクニーベンは打ち刀(メインの大刀)と言ったところでしょうか。
■意外に多い野営でナイフを使うシーン
実際にどのようなシーンで使い分けているかを説明していきたいと思います。
1.設営
2.薪を作る
3.調理
4.クラフト
野営時にナイフを使うシーンは上記4つの項目に大別されるのではないでしょうか?
それぞれ順番に説明をしていきます。
1.設営
設営時にナイフを使う場合は、ロープを切る。ポールを作るために先端を削ったり、カットしたりする。ペグを作る。などが考えられます。この時はタフな作業が要求されますので、ファルクニーベンを使用します。
2.薪を作る
薪を作る工程には、チョッピング、バトニング、フェザースティックを作る等があると思いますが、この時はファルクニーベンを使用します。
3.調理
私は野営時はなるべくいろいろな料理の工程をしなくて済むように、下準備をして食材を持っていくことが多いので、野営地で行う作業は、出来上がった肉を切る。簡単に野菜を切る。くらいですが、全てスクラマミニで行います。
4.クラフト
居住空間を過ごしやすくするために、枝を使ってランタンを引っ掛けるハンガーや、ケトル、クッカーを引っ掛けるフックを作成する、一般的に言われるブッシュクラフト(ただしブッシュクラフトとは、元々北欧の生活様式の事で、正確にはウッドクラフトと言った方が適切かと思います)から、お皿やカトラリーを作る食器類まで作成。何を作るかによりますが、大抵のことはファルクニーベンを使用。ただし、ファルクニーベンは刃渡りが160㎜あり、本当に細かい作業(刃の先端を駆使するような)をしたい時には向かないので、その場合はスクラマミニを使います。
良く、ブッシュクラフトで最適なナイフの刃渡りは、100㎜位といわれますが、私の個人的な感想では、100㎜だと短いと思っております。そのサイズだと、最大でも70㎜位の直径の薪しか割れず、チョッピングにも心もとない。私が愛用しているファルクニーベンは160㎜で、それでほとんどのクラフトが可能であるため、スプーンやフォーク等を作らない限り、短いナイフをクラフトに使うことは、私の場合はあまりありません。ただ、調理にはクラフトをしないナイフで、肌身離さず持っていられるサイズ感のナイフがあった方がより便利のため、私は2本を使い分けております。
みなさんも、自身のキャンプスタイルに合ったナイフを2本くらい使い分けてみてはいかがでしょうか?
>> 連載 [不自由を自由にする野営スタイル]
(文・写真/RYU)
「不自由は自由だ!」をモットーに、不便さの中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしております。 経験、スタイルを問わず、少しでも参考になる情報を発信して行きたいと思います。Instsgramアカウント @ryu chikazawa #不自由は自由だ #アウトドアをこじ開けよう「初代 @sotoshiru アンバサダー」「@tobuy_official インフルエンサー」「減災支援協会サバイバルプロジェクト野塾 塾長補佐」
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