街中では最速&最強!モタード仕様のアプリリア「SX125」は驚きのスプリンター

■クラスを超えたアプリリア本気の作り込み

イタリア生まれのバイクブランド・アプリリアは、レースの世界でその名をはせてきたメーカー。最近は、MotoGPやスーパーバイク世界選手権での活躍が目覚ましいですが、かつてはオフロードやスーパーモタードのレースでも強かったことで知られています。

ちなみにスーパーモタードとは、ターマック(舗装路)と、ジャンプなどを含むダートとが混在したコースで行われるレース。オフロード車にハイグリップのロードタイヤを履かせたマシンで争われますが、このパッケージングのバイクは“モタードスタイル”と呼ばれ、ストリートで速く扱いやすいため、昔から一定の人気を集めています。

今回紹介するアプリリアのSX125は、同クラスのオフロードモデル「RX125」の前後ホイールを17インチへと小径化し、オンロード向けのタイヤを装着したモタードスタイルのマシン。オフロード車と比べて舗装路のグリップに優れているのが美点で、ブレーキディスクも大径化されていて制動力もアップしています。また、RX125に比べると約25mmシート高が低くなっているため、足つきがいいのも小柄なライダーにはメリットといえるでしょう。

エンジンは、15馬力を発生する水冷4ストロークの単気筒ツインカム。最高出力はクラス最高レベルで、高回転域まで気持ち良く回る特性ゆえ、街中では十分以上の動力性能を発揮します。

足周りは、Φ41mmの倒立フォークと、プログレッシブリンク式のリアモノショックとを組み合わせた本格的な作り。

ツインスパータイプのフレームはスチール製ですが、見るからに剛性が高そうです。細部の質感も高く、このクラスにありがちなコストダウンの形跡がどこからも感じられないのも好印象でした。

■美味しいところを街中でも存分に味わえる

実際にSX125にまたがってみると、880mmというシート高は高めではありますが、前240mm、後220mmとモトクロッサーに匹敵するストロークを持つサスペンションの沈み込みが大きいため、身長175cmの筆者でもしっかりと両足のつま先が接地します。車重も134kgと軽いため、片足で支えるのにも不安はありません。

エンジンのエキゾーストノートはよく消音されているものの、歯切れがいいためライダーの気分を盛り上げてくれます。走り出しても元気の良いエンジンは、どんどんアクセルを開けて回していく楽しみを味わえます。レスポンスが良くて車体も軽量なため、加速が鋭く、シグナルスタートでも他車をリードすることができそう。

そして、軽い車体とワイドなハンドルにより、コーナーでの倒し込みも軽く、タイトなコーナーは得意中の得意です。それでいて、フレームや足周りは125ccクラスとは思えないほどしっかりしているので、高速コーナーでアクセルを開けていくようなシーンでも、ピタッとした安定感を感じられました。

軽量でしっかりした車体と、よく回り高回転型エンジンの組み合わせが楽しくないはずありません。倒し込みが軽く、車体を振り回すように乗れることに加えて、エンジンを高回転域まで使い切れる特性なので、マシンの“美味しいところ”をストリートでも存分に味わうことができます。

筆者もかつて、同タイプのマシンを所有していたことがありますが、この手のバイクが本領を発揮するのは、ちょっと路面が荒れているタイトな峠道。ちょっと落ち葉が浮いているなど、ハイパワーなマシンではアクセルを開けられないようなシーンでも、元がオフロード車という特性を活かしてガンガン走ることができます。

このように、ケースによっては排気量が倍以上あるマシンを置き去りにできるほど速いにも関わらず、“原付二種クラス”という維持費の安さを活かし、普段は通勤や通学などの足として使うことも可能。普段使いから趣味の世界まで楽しめる点こそが、アプリリアのSX125最大の魅力といえるでしょう。

<SPECIFICATIONS>
☆SX125
サイズ:L2055×W820×H1140mm
車両重量:134㎏
エンジン:124.2cc 水冷単気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:15馬力/1万700回転
最大トルク:1.25kgf-m/8000回転
価格:41万400円

(文&写真/増谷茂樹)


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