『頭文字D』でロータリーの大ファンに!少年の熱い夢を応援するマツダの“飽くなき挑戦”

■ロータリー大好き“未来の高橋兄弟”が聖地へ

今回、マツダ本社を訪れたのは、宮城県東松島市に住む小俣渓志郎くん(小6)。親戚からプレゼントされた『頭文字D』のDVDを観て以来、兄・翔太郎くん(中3)ともどもロータリーエンジンの大ファンに。

しかも、兄の翔太郎くんは、『頭文字D』で高橋涼介がドライブするFC型「サバンナRX-7」が大好き。一方、弟の渓志郎くんは、同じく劇中で高橋啓介がドライブするFD型「RX-7」が大好きという、まさに“未来の高橋兄弟”を想起させるふたりなのでした。

特に渓志郎くんは、ロータリーエンジンを好き過ぎるあまり、雑誌やインターネットなどを通じ、エンジンの構造や仕組みを勉強。ダンボールを使い、ゴムを動力源としたエンジン模型を自作したほか、無機質なエンジンをカラフルに彩った絵をいくつも描くなど、ロータリーへの思いを深めてきました。

そんな渓志郎くんの元に、ある日、オファーが届きます。彼がこども記者を務める『石巻日日こども新聞』の紙面を通じ、渓志郎くんの描いたロータリーエンジンの絵を見た地元企業・今野梱包の今野英樹社長が、「この絵でキーホルダーを作りませんか?」と提案してきたのです。

こうして商品化へと至ったキーホルダー「ロータリー」は、『石巻日日こども新聞』が展開する「石巻日日こども商店」を通じ、市販されることに。東日本大震災の際、日本全国はもとより、世界中から支援が寄せられたことに感動した渓志郎くんは、キーホルダーの売上げを「難病治療に役立てたい」と考え、京都大学 iPS細胞研究所へ寄付することを決意します。

実は今回、彼らのマツダ本社訪問が実現した背景には、マツダ本社のミュージアムを見学したり、工場を取材したりした模様を『石巻日日こども新聞』で記事化することで、ひとつでも多くのキーホルダーを販売し、より多くの寄付につなげたいという、渓志郎くんの夢があったのです。

■少年の夢に応えたマツダの熱い“おもてなし”

渓志郎くんの思いを受け止めたマツダは、彼らを広島本社へと招待し、『石巻日日こども新聞』の取材に対応。少年の夢への挑戦をサポートすることにしました。

そして迎えた取材初日。渓志郎くんたちを温かく出迎えてくれたのは、現行型「ロードスター」の開発を指揮されたマツダの山本修弘さん。現在もロードスターアンバサダーを担われるなど、“ロードスターの人”というイメージが強い山本さんですが、実はかつて、FC用やル・マン24時間耐久レース向けのロータリーエンジン開発を担当されていたほか、FDのパワートレイン開発担当も務められるなど、ロータリーとの縁が深い方なのです。

渓志郎くんは、山本さんから「マツダがなぜロータリーエンジンを商品化できたのか?」などのレクチャーを受けた後、山本さん自らドライブするFDの助手席に座り、生まれて初めての“ロータリードライブ”を体験。「モーターのように滑らか。手に汗をかくくらい加速が強烈でした」と、興奮を隠せない様子でした。

取材2日目は、広島とマツダの歴史について学んだ後、敷地内の「モノ造り歴史館」へ。渓志郎くんはロータリーエンジンの構造について、“ロータリーのプロ”ともいうべきマツダの技術者から、説明を受けました。

実は当日、マツダはモノ造り歴史館に、ロータリーエンジン搭載の名車を特別に展示。そこには、兄・翔太郎くんが好きなFCのカブリオレや、渓志郎くんが好きなFDはもちろんのこと、初代のSA型サバンナRX-7や、そのラリー仕様、そして、ル・マン24時間耐久レースで優勝を飾った「787B」など、ロータリー好きにとってのお宝が勢ぞろいしていました。

おまけに、FCやFDといった市販車だけでなく、貴重な787BやRX-7ラリーカーのコクピットにも座らせてくれるなど、マツダの皆さんは心より、渓志郎くんの訪問を大歓迎していました。

そのお礼とばかりに、渓志郎くんはダンボールでできた先述の手作り模型を、マツダの皆さんに披露。渓志郎くんは今回、ゴム動力を使った“初期型”に加え、モーターで駆動する“改良型”も持参。その見事な出来栄えに、日頃からロータリーエンジンに触れているマツダの皆さんからも、思わず感嘆の声が漏れました。

その後、渓志郎くんはロータリーエンジンの保守部品を手掛ける工場を見学した後、マツダミュージアムへ。世界で初めて2ローター・ロータリーエンジンを商品化した「コスモスポーツ」や、世界唯一の3ローター・ロータリーエンジン搭載車「ユーノスコスモ」といった往年の名車を細かくチェック。撮影や取材に余念がありませんでした。

難病治療の役に立ちたいという夢へ挑戦するために、今回、マツダ本社を訪れたこども記者の渓志郎くん。「ロータリーエンジンを作ったマツダのことがますます好きになりましたし、大きくなったらマツダに入社したいと思いました」と、充実した表情で取材活動を振り返ってくれました。

間もなく登場する電気自動車の車載発電用エンジンとして、復活することが確実視されているマツダのロータリーエンジン。しかしクルマ好きはどうしても、かつてのようにスポーツカーやクーペに搭載されるロータリーエンジンの復活を期待してしまいます。

今回、自らの夢への挑戦のため、熱い思いをマツダへとぶつけた渓志郎くん。近い将来、マツダの一員となった彼が、ロータリーエンジンの未来を担う存在となる日が来るかもしれませんね。

>> 石巻日日こども商店“キーホルダー「ロータリー」”

【次ページ】夢を抱く少年をワクワクさせたロータリーマシン10選

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