真っ先に向かったのはトヨタブース。お目当てはなんといっても「S-FR レーシングコンセプト」。2015年の東京モーターショーに参考出品されていた、小さな小さな後輪駆動車のコンセプトカー「S-FR」のレーシングバージョン。
なんとブースの前で、S-FRの企画を立ち上げた同社スポーツ車両統括部の森 和生さんを発見! これは大チャンス、お話を聞かなければ!
-(単刀直入に)S-FRは出ますか?
「まだ、なんともいえませんね。ただし、これだけ注目を集めるクルマを放っておくわけにはいかないでしょう!」
-ですよね、出すとしたらいつ頃ですか?
「いや、ですから、まだなんとも(汗)」
-(トヨタ「86」のチーフエンジニアである)多田哲哉さんは、S-FRに関わっているんですか?
「多田は我々の上司です」
-S-FRに対してはなんとおっしゃってますか? 『どんどんやれ!』とか?
「そこはいろんなしがらみがあるので、簡単にはいかないところなんです」
-え、しがらみ? S-FRを量産車レベルまで作っておきながら。とっくにしがらみをクリアしてなければ、あそこまでの完成度には仕上がらないですよね?
「実は“量産車”レベルに仕上げたように見せるのも、S-FRのコンセプトのひとつだったんです」
-といいますと? あれは量産車レベルにあるものを出展したのではなく、量産車に見えるよう仕上げたコンセプトカーだった、ということですか?
「そういうことです。今すぐにでも街を走っていておかしくない完成度に仕上げるのも、意図的なものだったのです」
-あ、完全にやられました。すっかり量産前提のクルマなのかと…。
「がっかりしないでください。我々はコレを世に出せるよう、猛烈に頑張っていますので! ともかく、世の中の反響、後押しが必要なのです!」
-『&GP』は全力でサポートしますよ!
「ありがとうございます!」
というわけで、すっかり量産レベルにあると思っていたS-FRは、量産“間近風”に仕上げたコンセプトカーだったとのこと。市販化に向けての期待値はややトーンダウンした感はありますが、まだあきらめるのは早い。我々クルマ好きの反響次第では、トヨタが動かないとも限りません。こんな小さなFRスポーツが企画されることはそうそうないわけですから、これからも熱く応援しましょう!
■姿だけでなくフォルムも変わる! 広がり続けるコペンワールド
すっかり意気消沈? したところで、お隣のブースへ。ダイハツです。そこで見たのは、広がり続ける「コペン」の世界。ご存知のように、コペンは外装パネルを樹脂製とし、着脱できるようにしています。すでに販売されている交換パネルは意匠替えの意味が強かったのですが、東京オートサロンで提案されていたのは、ボディフォルムから丸ごと変えてしまうというもの。
コペンの基本形は、電動開閉式のルーフを備えたコンバーチブル。これを流麗なルーフラインのクーペに仕立てたのが「コペン セロ クーペ コンセプト」。ルーフからトランク、そしてスポイラーへと流れるようなシルエット、後付け感“セロ”、ではなくゼロ。最初からクーペだったのでは? 思わせるほど高い完成度なのです。美しい!
その隣に置かれていた「コペン ローブ シューティングブレーク コンセプト」は、さらに衝撃的。コペンにラゲッジスペースという“機能”をも追加してしまおうというもの。シューティングブレークといえば、近年ではフェラーリ「FF」が好例ですが、街中で見ても異形のスポーツカーとして「ハッ!」とさせられる存在感があります。そんな流れをくみながら、実用性をプラスしつつスタイリッシュに仕上げた点も、コペンらしさ全開!
衣替えできるコペンは一粒で二度美味しいものでしたが、こんなコンセプトカーが市販されたら、美味しいどころかオーナーは笑いが止まりません!
■純正アクセメーカーの有志が作った新しくて懐かしい「S660」!
ホンダブースから離れたところに展示されていた「S660 ネオ・クラシック」。気づかずスルーしてしまい、写真を撮っていませんでした(涙)。というわけで、ホンダの純正アクセサリーを作っている、ホンダアクセス社の公式ツイッターアカウントから拾ってきた画像がこれです。
なぜ、ホンダアクセスのツイッターなのかといいますと、「S660 ネオ・クラシック」はホンダアクセスの有志が集まってS660をカスタマイズしたもの。だから、ホンダのブースには並べず、非メーカー系カスタマイズ車両が置いてあるスペースに並べられていた、というわけです。
もはやS660の面影を探すのを大変なほど、新しくて懐かしいデザインは、ますますマイクロスポーツカーの裾野が広がりそうな期待感を盛り上げてくれます。こんなのが街に走り出したら楽しそうですね。ん? 発売されるわけがない? 東京オートサロンはカスタムカーの祭典ですからね、これがこのまま市販されるといった話よりも、市販車を自分仕様にカスタマイズしようという提案なのかもしれません。
近年、バイクの世界では、カッコよくカスタマイズしてくれる“ビルダー”がもてはやされています。クルマの世界も、そのトレンドが広がる可能性はありますよ。特に、コンパクト&マイクロスポーツカーは絶好のターゲットですね。熱気に満ちたオートサロン会場で、そう強く感じました!
(文&写真/ブンタ)
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