■カナル型だけど圧迫感はない
まず、デザインについて。AirPods Proのケースは、従来モデルと比べてやや横長になりました。蓋を開ければわかりますが、イヤホン本体の形状が変わったことが関係していると思われます。従来のAirPodsが棒状の部分が直線的だったのに対して、AirPods Proは顔の正面方向へ少しだけ角度が付いています。
シリコンカバー付きのイヤーチップ(イヤーピース)が備わり、密閉性・密着性が高まったことも特徴です。通気孔によって外耳と外の空気圧に差が生まれないようには工夫されていますが、着け心地は従来のAirPodsとはかなり異なります。ここに関しては完全に好みの問題でしょう。
イヤーチップは、3種類のサイズが同梱。デフォルトでは標準サイズのものがセットされていますが、耳のサイズに応じて大きめのものや小さめのものと交換可能です。
一般的に、カナル型イヤホンといえば、ポケットやカバンのなかでイヤーピースが外れて行方不明になることも多々あるもの。しかし、AirPods Proのイヤーチップは根本が樹脂になっており構造的にカチッとハマるため、勝手に外れることはほぼありません。
イヤーピース交換の際には、シリコン部をつまんでぎゅっとひっぱればOK。反対に装着する場合は、装着部が楕円になっているのでその向きだけ合わせれば、ちょっと押すだけでカチッと簡単にはまります。
また、装着具合が問題ないかを確認する方法として、「イヤーチップ装着状態テスト」が搭載されています。購入した際には使ってみてください。iOSデバイスの「設定」>「Bluetooth」>AirPods Pro欄の「i」マークをタップし、「イヤーチップ装着状態テスト」をタップすることで、実行できます。
AirPods Proを耳に装着した状態で、短い音楽を再生し、密閉具合が適当かどうかを判断してくれるという機能になります。装着具合が適当な場合は緑、改善できる場合は黄色の文字で結果が表示されます。もし着け心地の判断が自分でできない場合には、黄色が出たら調整した方がいいという目安にしてください。
■一番の売りはノイズキャンセリングに対応したこと
新機能では、やはり「アクティブノイズキャンセリング」が大きなトピックになります。従来のAirPodsでは、軽い装着感が心地良い反面、外部のノイズが聞こえてしまったり、音漏れが気になったりする弱点も確かにありました。AirPods Proはここをカバーできるよう進化しています。
このノイズキャンセリングでは、AirPods Proに備わった2つのマイクが活躍します。まずは、外部にあるマイクが外のノイズを拾います。そのノイズに対するアンチノイズを出すことで、外のノイズが耳に届く前に打ち消します。続いて、それでも漏れて入ってしまったノイズを、今度は内側に備えるマイクが拾います。ここでもノイズを相殺する処理が行われます。こうした処理が1秒間に200回行われることで、環境音のノイズが低減されます。
実際に地下鉄のホームおよび電車内で使ってみましたが、ノイズキャンセリングモードをオンにすると、電車の走るゴォーという低音はほぼ聞こえないレベルまで消えました。具体的には、車内アナウンスのような大きな音や、周囲で話している女性の高い声(内容まではわかりません)、ハイヒールなど硬めの靴底が床に当たる音などがかろうじて聞こえる程度に。通勤・通学時に外国語のリスニングなどを行いたい場合には、このノイズキャンセリングモードは重宝するはず。
ただし、ノイズキャンセリングモードをオンにすると、車内のアナウンスもささやき声程度でしか聞こえなくなります。実際に使用する際には「外部音取り込みモード」をうまく使うのが重要。これを有効にすると、マイクで取り込んだ音をスピーカーで自然に混ぜて再生するようになるので、(もちろんノイズは聴こえてしまいますが)車内アナウンスのような外部の音も自然に聞こえるようになります。
従来のAirPodsでは軸部分を指でトントンっとタップすることで操作を行う仕組みになっていましたが、AirPods Proでは軸の部分を指でぎゅっと摘む操作に変わりました。
ノイズキャンセリングモードと外部音取り込みモードを切り替えるには、ここを長く摘めばOK。なお、この操作への割り当ては「設定」>「Bluetooth」>AirPods Pro欄の「i」マーク>「左」または「右」の欄からSiriの起動にも変更できるので、合わせて覚えておきましょう(とはいえHey Siriと言うだけでSiriは起動するので、基本的にはデフォルトで大丈夫だと思います)。
また、「コントロールセンター」画面の「音量」部分を長押ししても、ノイズキャンセリングモードの切り替え操作が可能。Apple Watchからも似たような操作が行えます。
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AirPods Proでは、従来モデルで搭載していた各種センサーを変わらずに搭載しているので、脱着時に自動で音楽の停止・再生が切り替わるなどの使い勝手は踏襲されています。バッテリー持ちは最大5時間、ノイズキャンセリングを有効にした場合で最大4.5時間、通話は最大3.5時間です。バッテリーケースの充電を併用すれば充電を挟みつつ計24時間の再生が行えます。
価格は2万7800円(税別)。より安価な従来モデルも併売されるので、ノイズキャンセリングの必要性の有無や、形状と装着性などを考慮して、どちらを選択すべきか検討するのが良いと思います。
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(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。
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