■ノイズキャンセルの精度が高い！
10月30日に発売を開始したアップルの「AirPods Pro」。2016年から続くAirPodsシリーズが、発売以来最大のアップデートされたモデルです。
ポイントは大きく2つ。
まずはイヤホン形状。これまでのAirPodsシリーズのオープン型から一般的なカナル型になりました。これにより遮音性がアップ。電車での通勤・通学の多い人にとっては、重要なアップデートです。
そして、外部の騒音を低減するアクティブノイズキャンセリング（ANC）と外音取り込みへの対応です。
完全ワイヤレスイヤホンでノイズキャンセリングはほぼソニーの独占でしたが、トップブランドのAirPodsが遂に採用と、アップル本気出しすぎです…。
カナル型になったことで新デザインになり、少し丸みを帯びた形になりました。でも、耳から下に垂れるデザインは踏襲しています。
イヤーピースは柔らかなシリコン製で、根本から取れる珍しいタイプ。S／M／Lの3サイズが付属していて、フィット感も調整できます。ちなみに、iPhoneやiPadから、正しいサイズで密閉されているかチェックする機能も付いています。
従来のAirPodsと比べても、イヤーピースの密着感がある分、落下しにくいデザインになっています。
イヤホンの下に伸びる部分にはタッチセンサーを搭載。再生時の操作やノイズキャンセル／外音取り込みの操作に対応。音量操作はできません。
イヤホン本体のバッテリー駆動時間は4.5時間と、ノイズキャンセル搭載としてはホドホド。充電ケース併用で最大24時間再生使えるので問題ないでしょう。小さな充電ケースとトータルで考えると十分なスペック。ちなみに充電はLightning端子とQi規格のワイヤレス充電対応と、アップルユーザーには馴染みある作りです。
セットアップは、iPhoneの近くでケースの蓋を開けて、iPhone画面で「接続」ボタンを押すのみ。この簡単さは本当に反則級ですね。
■実際に街で聴いてみると…
まずは「AirPods Pro」のノイズキャンセル性能を検証してみたのですが…、その効き目は予想以上に優秀。電車の騒音も、最もうるさい重低音は聞こえないレベルに。電車の揺れや金属音は聞こえますが、それは他のノイズキャンセル対応の機種でも同じ。イヤホンのノイズキャンセル性能としてはトップクラスでしょう。
そして”外音取り込み”も使えます。伸びているアンテナ部を長押し（感覚的には“つまむ”）で簡単に切り替えられる上、イヤホンを装着しない状態より少し音の感度が上がったような自然さ。渋谷のスクランブル交差点を歩いてみても、音量を上げ過ぎなければ、音楽と外の音を自然なミックスで感じられるほど。
音切れについては、山手線で一瞬音が飛んだり、渋谷のスクランブル交差点では時々、途切れがありました。でも、日常使いには問題ないレベルでしょう。
■気になる音質は？
ノイズキャンセル性能が素晴らしいことはわかりました。次は音質をチェックしていきます。
リファレンス曲にしている宇多田ヒカル『あなた』から聞いてみると、声はナチュラルさと厚みで鳴らすと共に、低音は沈み込みより演出を効かせたタイプ。楽器の音もクリアさを欲張らず、でも音空間は自然と広がります。BrunoMarsの『24K Magic』も重低音は派手に演出してきますが、キレや歌声の立ち方はホドホド。AirPodsの中域の厚みと低音の演出に、全体的に情報量をプラスした雰囲気です。AirPodsのサウンドからは進化していて合格点でしょう。
＊ ＊ ＊
「AirPods Pro」はアップルストア等で2万7800円（税別）なので税込みで考えると約3万円。音楽リスニング用として考えると最高音質ではありませんが、他機種とは比べられない唯一の存在だったAirPodsに高精度のノイズキャンセルが付いて約3万円なら“買い”でしょう。iPhoneユーザー、特に現行のAirPodsを愛用している人には、全員に買い替えをオススメします！
［関連記事］
ノイズキャンセル✕完全ワイヤレス！ソニー「WF-1000XM3」は最強か!?【イヤホンレビュー】
完全ワイヤレス史上最高音質!? ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless」【イヤホンレビュー】
いまだ入手困難なAVIOTのコラボ完全ワイヤレスが高音質過ぎた【イヤホンレビュー】
（取材・文／折原一也）
- 1
- 2
