■「Photoshop」にiPad版が登場
一番のトピックはやはり、「Adobe Photoshop iPad版」の提供が開始されたことです。機能は「画像合成」「レタッチ機能」「画像のマスク」という3種類のタスクにフォーカスした内容に。なお、現時点では基礎を優先したミニマムな構成ではありますが、今後のアップデートで順次機能が足されていくとのこと。
画面上に表示される「タッチショートカット」ボタンを活用することで、キーボードを接続していない状態でもショートカット操作が可能になるなど、タッチスクリーンに最適化されていることも特徴です。
また、「クラウドドキュメント」システムに対応し、こちらに保存したファイルはPSDCというフォーマットになります。これによりデスクトップ版のPhotoshopとシームレスに連携可能に。iPadを活用することで、オフィス環境だけでなく、電車での移動時間などにもPhotoshopを用いた基本的な作業を行いやすくなります。
Adobe Creative Cloudのプランに含まれるほか、月額1080円(AppStore、税込)での単体利用も可能。新規ユーザーは30日間無料で体験できます。
■「Illustrator」のiPad版もまもなく
「Adobe Illustrator iPad版」のプレビューも公開されました。パスを用いたベクターでの描画が可能で、従来アプリでのフリーハンド描画よりも、機械的で緻密な描画が可能となります。描画だけでなく、フォントを活用した編集が行えるようになっていることも、本家のIllustratorならでは。
オブジェクトを複製して整列させるリピート機能も秀逸で、アイコンを円形に配置したり、平面に並べたりする操作も一瞬で可能に。同様に、左右対称な図形を描ける機能も備えます。
そのほか、手書きの線をカメラでキャプチャーして、自動でパスを作成できる機能も紹介されました。
製品版の公開時期は2020年を予定。プレビューゆえに価格等の情報は明かされていません。
■AIファーストな「Photoshop Camera」
Photoshopの名前を冠したカメラアプリ「Adobe Photoshop Camera」のプレビューが発表されました。製品版の公開はこちらも2020年を予定。こちら“iPad向け”という位置付けではありませんが、iOS・Android両対応です。
AIのAdobe Senseiによって、被写体を自動で認識し、背景などをリアルタイムに合成するというカメラアプリです。従来の「カメラで撮影した画像を、Photoshopに取り込んで合成する」という流れとは異なり、「Photoshop Cameraで合成しながら撮る」というイメージを持った方が理解しやすいでしょう。
Photoshopで「ブラシ」を使うように、Photoshop Cameraでは「レンズ」と称するエフェクトのパッケージを選択することで、多彩な表現が可能になります。この「レンズ」には、著名なインフルエンサーとコラボしたライブラリがあったり、Photoshopを活用してオリジナルレンズを作成したりもできます。
■無料のARアプリ「Aero」新登場
AR用のiOSアプリ「Adobe Aero」も発表されました。こちらはすでにAppStoreからインストール可能。無料で利用できます。
同アプリは、AR空間にオブジェクトを配置して、アニメーションなどを付与できるオーサリングツールです。実際にARオブジェクトを作成するには、「Adobe Dimension」や「Substance」などの別のアプリケーションを活用する必要があります。
また、Photoshopで作成したPSDファイルのレイヤーを認識し、立体絵画のように空間的に配置することも可能です。
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従来も「Photoshop」や「Illustrator」の名前を含むiOSアプリは存在しましたが、スピンオフ的な存在で、本家のサービスとは異なるものでした。しかし、ここにきてようやくPhotoshopやIllustratorそのものが登場しだしたわけです。
定番の強力なクリエイティブツールが使えるようになることで、プロ・アマ問わずiPadがさらに魅力的に見えてきますね。
ちなみに、この記事では触れませんでしたが、iPadが関わらないアプリのアップデートも膨大に発表されました。興味がある方はAdobeのサイトから確認してみてください。
>> Adobe
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(取材・文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。
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