▼ストーブ
ストーブと言う名称ですが、カップを安定させるゴトクのような役割です。
枝を突っ込んで焚き火台のようにもできそうですが、細い薪しか入れられません。湯を沸騰させるには大量の細い薪を用意しなくてはならないので、それよりも、太い薪がゴロゴロする焚き火の中にストーブを突っ込むほうが現実的です。
反対側にも大きめの穴があいているので、ストーブの中に空気が通りやすい構造です。
直火ができる場所が少ない日本では、焚き火台を使うことになります。大抵の焚き火台にはゴトクが付いているので、セットのストーブの出番は少ないのでは。 このストーブが活躍するシーンは、アルコールストーブ使用時と言えるでしょう。 ただし、このときはカップのハンドルが宙に浮くのでややバランスを取りにくい形状。満水のときは問題ないのですが、水が少ないと倒れやすくなるので注意が必要です。
▼スタッキング
カンティーン クッキングセットは、各パーツをただ重ねられるだけではありませんでした。
ストーブとカップを重ねて、カップのハンドルを倒します。 カップとストーブの隙間を見るとわかりますが、ハンドルを倒すことで、ストーブがほどよく圧迫されます。
ハンドルによってロックされました。もう歩くたびにがたつくことはありません。また、スタッキングできるよう、カンティーンもカップ、ストーブも空豆のような形になっていて、くぼみ部分にハンドルが収まるため無駄な出っ張りがなくなります。
カップの中にカンティーンを入れます。カンティーンは固定されないのですが、段差のおかげでカンティーンの底とカップの底が触れることはありません。地面に直接置くことが多いカンティーンなので、衛生面でも安心です。
ふたとともに収納袋に入れます。袋の背面にはスナップボタン付きのウェビングベルトやデイジーチェーンが付いていて、ミリタリー感満載。もちろん、手持ちのパックに取り付けられますよ。
袋の底にハトメがあるので、空気と水が抜けやすくなっています。この収納袋、上の方にはドローコードが付いているし、樹皮などの着火剤集めなんかにも重宝しそうな大きさでもあります。
* * *
薄くたためる大容量水筒、保温性のあるボトル、いくつもセットになったクッカー、折りたたみ式の焚き火台など、ギミック満載で扱いやすい道具は星の数ほど世に出ています。
パスファインダーは自然の中で生きるために不可欠な道具を設計しているブランドで、作れるものはその場で作ればいいと考えています。「カンティーン クッキングセット」も軍用のカンティーンセットをベースに、 ネジなどゆるむものは使わず、可動部もハンドルのみ。過度な軽量化や快適性を追求するわけではなく、破損しづらい作りを踏襲した上で、カンティーンを広口にするなどアイデアを取り入れています。
タフさと実用性を備え、いざというときに頼れる安心感を得られることがこのセットの魅力。手に取ると、慌てずにトラブルに対応できる器の大きな人間になった気分に浸れることも醍醐味です。
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(取材・文/大森弘恵)