■試して分かった冬キャンプに間違いのない一足
現在のアウトソール(靴底)付きヌプシブーティーが一般発売されたのは2006年。以来、細かい進化を遂げながら、保温用防水ウインターブーツとして安定した人気を誇るシリーズですが、現行は仕様や素材、長さの違いで10種類以上がラインナップされています。
GORE -TEX仕様もあるし、ダウン素材のものもあるし、正直どれを選ぶか迷います。その中から選んだのは、「ヌプシブーティーウォータープルーフVI」。暖かくて、雪上使用ができること。そして、履きやすく、あわよくば普段の雨天時に使いたいので防水性があるという理由から。中綿量も多く防水で、ソールはビブラムのアイストレック、しかも、ロゴが目立たないというのもポイントでした。
■想像以上に高い防水性
今回これを選んだ理由の一つが防水性ですが、表素材にはTNF独自の“TEKWPROOF" 防水メンブレンを使用。摩耗強度の高いリップストップナイロンのアッパーには、撥水加工が施されています。
防水性は高く、小川にじゃぶじゃぶ入っても浸水しませんでした(こういう使い方は想定していないと思いますが)。しかも冷たさを感じず、ちょっとした感動もの! 皮革製品ではないため、水に浸けるのを躊躇しないのもいいところ。本当かどうか思わず2回も試してみました。
■片足履くのにわずか3秒。歩き出しまで約15秒!
そもそも購入を思い立った理由が、シューレースがあるブーツの脱ぎ履きが面倒だという点。例えば、冬キャンプで夜間にトイレに行く場合、ブーツのシューレースを締めなければ踏んで転倒する恐れもあるので危険です。しっかりと締めるとなると履くのに、1分以上はかかります。
その点、これは足をスポッと入れるだけ。片足3秒ほどで履けてしまうのです! しかもシューレースがないから、踏んで転ぶこともありません。
トレッキングや歩く前提の場合はブーツの方が断然いいのですが、さほど歩かない冬キャンプでは、シューレースがない点は圧倒的なメリット。
めっちゃ楽です。
しかも軽い! 公称値は415g(9インチ/片足)ですが、今回の実測値だと386g。メレルのウィルダネスが763gだったので、約半分です。ちなみに中綿は、中空繊維で軽く保温性が高いサーモライトを使用。
もちろんトレッキングブーツはしっかりとした歩行をサポートするために重量があるのですが、キャンプ程度の歩行であれば軽い方が歩きやすく、フットワークが明らかに軽快になります。
■グリップ力を発揮するビブラムソール
このブーツでハードなトレッキングをしようとは思いませんが、ちょっとキャンプ場の周りを散策したり、雪上を歩いたりはするので、ソールに信頼性が高いに越したことはありません。
採用しているTNFオリジナルのビブラム「アイストレック」はその名の通り、パターンデザイン面も含め、氷雪面でのグリップ力を確保するために開発されたもの。今回は試せませんでしたが、そもそもこのブーツの推奨使用シーンは雪上。年明けに冠雪地帯に行った際、そのグリップ力には期待したいところです。
近くの山を散策をしてみましたが、普段履いているトレッキングブーツもビブラムなので、グリップ力の違いを実感することはできませんでした。ただトレッキングブーツのようにしっかりと足首がホールドされていないので、内部でかかとが浮いてしまい、足を蹴り出す時のソールの追従性はイマイチ。当たり前ですが、本格的に歩くならトレッキングブーツには敵いません。
今回、冬場なので厚手の靴下を履く想定で大き目(9インチ:27cm)を選びましたが、足の甲がしっかりとホールドされるため大きさを感じることなく、歩けました。
■地面からの冷気もしっかりシャットダウン
もう1つ選択の理由が足元の防寒対策。足元の寒さはジワジワときて、体の芯から冷えてしまいます。その点、ブーツは直接地面からの冷気を遮るために重要なアイテム。冬場は欠かせません。
防寒力がどれほどのものかと試してみましたが、地面からの冷気が上がってくる気配はなく、じっとしていても寒さは感じず。袋状なので暖かさに包まれているイメージ。より寒い場所ではタイツやソックスを併用すれば、足元の不安はなくなります。汗をかいても中敷が取れるので、メンテナンスも容易というのも嬉しいポイントです。
今回試して分かったのは、軽くて、暖かくて、めっちゃ楽。しかも防水性で、雪道も大丈夫。なんで今まで買ってこなかったのか、後悔しています。冬キャンプ、冬のアクティビティでの足元の心配がこれでなくなりました。
もちろん普段使いもできるので、これから寒い季節は活躍するのは間違いありません!
ただ1点課題があるとすると、履きこなし方。今回のアウトドアコーデも地味でしたが、オシャレに履きこなすセンスが必要だなと感じました。
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(写真・文/&GP編集部 澤村尚徳)
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