【ボルボ新XC60 T6試乗】ツインチャージャーで燃費も走りもいいとこ取り!

ちょっと古いボルボファンの人なら、「850」シリーズの5気筒エンジンを覚えているかもしれません。ポルシェが開発したとささやかれた直列6気筒エンジンから1気筒を落としたユニットです。後に、さらに1気筒少ない4気筒バージョンも登場し、当時のボルボはエンジンラインナップを完成させました。

気筒数の増減で異なる排気量のエンジンをそろえたかつてのボルボとは異なり、21世紀のボルボは、いわば過給機の力を借りたエンジンチューンの度合いによって、パワートレインのラインナップを拡充しています。

この新しいDRIVE-Eシリーズ、同社のディーゼルユニットと多くの部品を共用しているというのも示唆に富んでいます。ご存知のように、ディーゼルエンジンは非常な高圧に耐えられるよう、頑丈にできています。これをガソリンエンジンとして用いた場合、かなりのハイチューンまで許容できるわけです。

スーパーチャージャーとターボを備えた2リッター・T6ユニットのアウトプットは、最高出力が306馬力/5700回転、最大トルクは40.8kg-m/2100〜4500回転。

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例えば、従来の「XC60」にあったT6は、3リッター直6エンジンで304馬力と44.9kg-mでしたから、排気量が3分の2になっても、アウトプットは遜色ありません。

それでいて燃費は、XC60の場合、従来の9.0km/Lから12.3km/Lに向上。気筒数が減り、エンジンそのものの重量が軽くなったことも、燃費に好影響を与えています(XC60の車重は1930kgから1880kgへと軽くなりました)。

T6ユニットがスーパーチャージャーとターボを兼備しているからといって、常に両者が同時に過給を行っているわけではありません。

ターボのタービンが十分に回らない低回転域では、エンジンのパワーを使って空気をシリンダー内に押し込むスーパーチャージャーが働きます。ターボの過給圧が上がり本来の力を発揮できる3500回転以上になると、高回転域ではかえってお荷物となるスーパーチャージャーは切り離されます。専用のクラッチが設けられているんです。ボルボの新しいT6ユニットは、いうなれば、過給機のハイブリッドシステムですね。

かつてはモンスターラリーマシンの心臓部に使われたスペック(ヘンリ・トイボネンに合掌)が、今や環境技術の切り札になっているのですから、時代は変わったものです。

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