【雪上試乗 スバルAWD】性格に合わせて4種を使い分け。楽しいのに安心感は絶大!

さて、4輪駆動の場合、前輪左右、後輪左右に加え、前輪と後輪の間でも同じような問題が生じます。悪路でクルマがスタックした時だけ前後輪を「ガッチャン!」と結びつけ、窮地を脱したら再び前後を切り離して2駆で走れる“パートタイム4WD”なら、さほど面倒なことにはなりません。

でも、常に駆動力を4輪に分配して力強く走るフルタイムAWDシステムを実現したいなら、前輪後輪の駆動力を調整するセンターデフが必需品となります。同様に、AWDのタフさを具体化するために、前後輪間のLSDもぜひ装備したいところ。

_MG_9024b

インプレッサとフォレスターのマニュアル車には、上記ふたつのデバイスを使った“ビスカスLSD付センターデフ方式AWD”が使われます。ビスカスカップリング式LSDは、オイルの粘性を利用した差動制限装置で、穏やかで自然な利きが特徴です。MT車の場合、ギヤの選択やアクセル操作(トルクの増減)はドライバーが行うので、こうしたシンプルなAWDシステムで十分なのです。

…と説明した舌の根も乾かないうちに「そうはいっても、もっと積極的にAWDシステムをコントロールしたいよね」という要望もあります。そう、モータースポーツのフィールドにおいてです。スバルきっての硬派モデル「WRX STI」では、“DCCD(ドライバーコントロールセンターデフ)方式”が採られます。

_MG_8858b

前輪:後輪=41:59と、後輪寄りにトルクを分配するセンターデフに、作動が速い差動制限装置“トルク感応型機械式LSD”を組み合わせて基本の走りを安定させ、さらに前後の締結力を変化させられる“電磁式LSD”を加えることで、主体的なコントロール性を与えています。

ドライバーが車内のダイヤルを回すことで電磁式LSDの利きを変化させ、例えば、カーブの入り口では前後の結びつきを緩めて回頭性を上げ、"曲がり"から脱出するタイミングでは前後をしっかり結んで4輪に十分なトルクを配分し、加速力を最大限に発揮させる…そうした使い方が可能となります。さらに、この一連の操作を自動化した“DCCDオート”も開発され、実装されています。うーむ、恐るべきスポーツAWDですね!

 ■長年磨き抜かれてきたアクティブトルクスプリットAWD

次のページへ

この記事のタイトルとURLをコピーする