底に穴のある二重構造のプレートを、1/1000万気圧以下になっている真空チャンバー内に入れてプレート内部の層を真空にします。その後、真空チャンバー内で底にある穴を埋めるという工程で作られています。質感の違う中央部分は、真空処理をした後にふさいだ穴の跡にパーツを被せているというわけなんですね。
サーモスでは、穴を塞いだあと、すぐに出荷するのではなく2〜3週間保管してから検査するそうです。真空チャンバーを使い、こうした処理をするのはかなりの技術力が必要だし、保管する時間も場所も必要です。二重構造の食器は作れても、すべての二重構造食器が真空ではないのは、そんな理由があったんですね。
サーモスのアウトドアシリーズにラインナップされている「真空断熱ステンレスボウル」「真空断熱ステンレス深型プレート」は名前の通り、当然真空。さっそく、その実力を試してみました。
■外気温の影響を受けにくい!
<保温性>
厚手のステンレス製ロッキーカップと「真空断熱ステンレスボウル」を氷水を入れたバットに漬け、温度変化を比べてみました。注いだのは沸騰したての熱湯200cc、気温13℃です。
表面から熱が逃げてしまううえ、アナログ式温度計で計測に時間がかかるのであくまで参考にしかなりませんが、10分後に湯に触れると明らかな差が生じていました。
▼1分後
▼3分後
▼10分後
■細かな溝がなくずーっときれい
<メンテナンス>
ボウルも深型プレートも、つなぎ目や溝、折り返しなどがありません。小さなホコリや汚れが詰まる場所がないので、洗い残しの心配なし。ステンレス製なので、炊事場の遠いキャンプ場では、スクレーパーやペーパーでサッと拭き取るだけでも結構汚れを落とせます。これはうれしい!
余計なハンドルもないシンプルな形。重ねてスッキリ収納できます。二重構造なのでそれなりに分厚いですが、家族分を用意するなら、これくらい潔いデザインがうれしいですね。サイズは深型プレートでφ21×4cm(約300g)、ステンレスボウルはφ14.5×6cm(約100g)。どちらもオープン価格です。
実際に屋外で使ってみました。
魔法びんのボトルやポットとは異なり、フタがないのでどうしても表面から熱は逃げてしまいます。けれども、熱々のスープもオムライスも、普通の皿とは違ってじんわりあたたかさが残ります。
熱々のシチューを入れても、外側が熱くなりません。
なんてことないように思えますが、薄い食器に熱い汁物を入れると、食器が熱くて手を離しかねないですよね。冬キャンプはテント内で食事を取ることが多いので、大惨事になりかねない。
こまめに料理を温め直してもいいのですが、極寒の冬キャンプでは夜はテント内に引きこもります。ストーブをインストールできるテントでない限り、テント内は火気厳禁。そうなるとお手上げ。
サーモスの真空断熱ステンレスボウルとステンレス深型プレートは、じんわりあたたかさが残るので引きこもり系冬キャンプで重宝する食器なんです。
>> サーモス
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(取材・文/大森弘恵)
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