この細工部はチタンではなく“シルバー”、つまり銀合金です。妙にハンドメイド感ある仕上がりなので、切削ではなく鍛造か鋳造か? 実際、どのような工程で製作されているかは分かりませんが、手の込んだクリップであることは間違いありません。
テールスイッチカバーもチタン製なのですが、こちらはいたってメカニカルな風貌。いくつかある凹みにはトリチューム管でも入れて欲しいのでしょうか? 日本では叶わぬ願いでございます。
こちらのスイッチはリターン式。半押しでのモメンタリー点灯はできません。点灯させた後、スイッチを軽く押し込むたびにモード切り替えが可能です。モードはサクサクと切り替えられます。消灯時の明るさを記憶するメモリー機能もあり、使い勝手に不便を感じることはありません。
ベゼルリングはカッパー(銅)カラーに仕上げられ、近年多く採用されるACEBEAMらしいものです。小型のコリメータレンズに収まるLEDは計3種類。それぞれ特徴の異なるLEDが採用されており、好みに応じて選択できます。今回ここで紹介したのは、SAMUSUNG LH351D 高演色モデルです。
消灯時に拝めるオレンジの蓄光素材。これが結構明るくて、ターボモードで数秒点灯させた後に消して5分くらい経っても薄ぼんやり光ってます。一番暗いモードで放置したかと思うくらい。実に優秀な蓄光素材です。
実際に手で握ると、やっぱりトゲトゲが気になる(笑)。もう半分ネタだよなぁ~と思うくらい。ですが、チタンという素材がフラッシュライトの世界では「半分ネタ」であることはご存じ方もいるかと思います。つまり、実用性よりはコレクション性の高いものです。一般的にチタンと聞くと「丈夫」「腐食しない」等、鉄と対比した強靭さや軽さが注目されますが、懐中電灯の素材として限ると、アルミと比べて大きなメリットはありません。
チタンモデルの価値は「チタンであること」、それに尽きます。
このモデルが面白いのはウルトラ丈夫な素材のアクセントに腐食しやすい銀細工をあしらっている点でしょう。カッパー(銅)のようなエイジングがクリップ部で楽しめます。
3つのLEDから照射される光は均等かつワイドに広がります。Lowモードであっても100ルーメンあり室内では全く不便を感じません。屋外であればMidモードの300ルーメンがイイ感じ。まったくボディが熱くならないし、充分に地面や前方を照らせます。3灯あるので1つのLEDの仕事量が減り、LEDの発熱を抑え効率的に電力を光に変換しているように見えます。
高演色モデルなのですが、演色性に関してはそんなに「すごいな」とは思いませんでした。普通ですかねぇ? 明るさに関してはスペック通りの明るさが出ていたと思います。特に広い面を照らすことに長けており、死角の無い配光は評価されるべきと思います。
充電機能をビルトインしたリチウムイオン充電池が付属します。付属のケーブルを直接充電池に差し込んで充電を行うタイプです。残念ながら汎用の18350充電池では全長が短く接点に触れないと思います。付属の充電池を使いましょう。
メカメカしいチタンボディとパンクなハンドメイドシルバークリップ。この異色の組み合わせは実に面白いと思います。初見は面食らいましたが、見ていると味のある組み合わせに思えてきます。好みは分かれるところですが、ただチタンの削り出しを自慢するようなライトではなく、遊び心を入れてくるあたりがACEBEAMらしいのかな? とも思いました。
他人とは被らない個性的なコンパクトフラッシュライトが欲しい方にはオススメの一本です。(アカリセンター価格:2万8238円)
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(文・写真/HATTA)
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