■「この手があったか!」のカラーコーデが新鮮
4代目となる現行型ロードスターの日本デビューは、2015年の5月21日。間もなく登場から丸5年を迎えますが、時の流れを感じさせないのは、端正なたたずまいはもちろんのこと、ほぼ毎年行われる改良により、安全性や快適性を随時ブラッシュアップしていることも理由のひとつといえるでしょう。
また、マツダ車はカラーコーディネートにも強いこだわりがありますが、ロードスターは特にその傾向が強いモデル。現行型もこれまでに、「クラシックレッド」(限定色/2017年)、「レッドトップ」(ソフトトップ部/2017年)、「キャラメルトップ」(ソフトトップ部/2018年)」、「レーシングオレンジ」(30周年記念車・限定色/2019年)といった具合に、色にこだわった特別仕様車がいくつも設定されてきました。
そして、2019年12月の商品改良でも例に漏れず、特別仕様車としてSILVER TOPを設定。3月31日までの期間限定受注を行っています。このSILVER TOPは、中間グレードの「Sレザーパッケージ」をベースに、新採用となるグレーのソフトトップを装着。
さらに、ドアミラーカバーがボディ同色となり、高輝度塗装の16インチアルミホイールが備わるなど、特別な演出にも抜かりがありません(RAYS製の鍛造アルミホイールをオプション装着した場合、ドアミラーカバーはピアノブラックに)。
現在ロードスターには、7色のボディカラーが用意されていますが、このSILVER TOPは、いずれのカラーとも組み合わせが可能。ちなみに今回の商品改良では、ボディカラーの見直しも図られており、白色系のセラミックメタリックに代わって、「マツダ3」などでもお馴染みのポリメタルグレーメタリックが新採用されています。
ポリメタルグレーといえば、金属の硬質感と樹脂の滑らかなツヤ感とを融合させた、クールな色調と独特な質感が特徴。その色味はポリ塩化ビニールのパイプ、つまり、配水管などでお馴染みの“塩ビパイプ”をモチーフに、あの色味や質感にヒントを得たとのことですが、さらにクルマの立体造形を鮮明にすべく、金属的な表現が加えられています。
メタリック系のボディカラーとはいえモノトーンですから「クルマの塗装としてはやや単調で印象も希薄なのでは?」と思っていましたが、それは全くの杞憂でした。実際、ポリメタルグレーのSILVER TOPと対面すると、晴れた日中ではボディのグレーが強く、ソフトトップとのコントラストも控えめ。ツール感といいますか、軍用車風といいますか、マニアックな視点で見れば“ロービジ塗装”の軍用機のようで、確かにクールな雰囲気です。
しかし、発色のための顔料、光を反射する光輝材の組み合わせが巧みなようで、早朝や照明の下では、ボディはやや青みがかった色調、かつトップはグレーの明るさが際立つことで、日中とは異なるコントラストが生み出され、なんとも、なまめかしく映ります。
もちろん、色の好みは人それぞれ。レッド系やホワイト系などは、定番らしくクルマのキャラクターとのマッチングも良好です。一方、こうした“ハズしの妙”ともいえる組み合わせを設けてくる辺りは、カラーコーディネートに強いこだわりを持つ、マツダならではといえるのではないでしょうか。
■NDロードスター最新版は中身もしっかり進化
カラーコーディネートの話題に終始してしまいそうなSILVER TOPですが、今回の商品改良の中身にも触れておきましょう。
まず、Sレザーパッケージなどレザーシートが装着されるモデルでは、本革素材の上質感を向上させるパーフォレーション(穴あけ加工)が施されるようになり、ステッチカラーも赤からグレーに変更されました。また、上位グレードにはステンレススカッフプレートが標準装備されるなど、質感の向上も図られています。
ADAS(先進運転支援システム)などの機能面では、ブレーキを自動制御して衝突回避のサポートや被害の軽減を図る“アドバンスト・スマートシティ・ブレーキ・サポート”が、夜間の歩行者検知に対応。また、コネクティビティシステムである“マツダコネクト”がApple CarPlayやAndroid Autoに対応するなど、利便性の向上も図られています。
気になる走りは、基本的に従来モデルを踏襲していますが、RAYSと共同開発した鍛造16インチホイールが新たにオプション設定されました。このホイールは、標準のものと比べて1本当たり800g軽量に仕上がっており、バネ下重量の軽減を実現しています。また、RAYS製ホイール装着車にはブレンボ製フロントブレーキがオプションとして用意され、コントロール性の向上をさらに図れるようになっています。
2017年に、足周りやステアリング関連を、2018年には、エンジンや安全性の向上を図ったロードスターだけに、今回の商品改良のメニューはやや控えめ。その分、走りに関しては、もはや円熟の域に達しているのも事実です。
一方、ボディカラーとソフトトップ色の組み合わせでは、「まだこんな手があったか!」と思わせてくれるのも、ファッション性の高いロードスターならでは。とはいえ、SILVER TOPの受注受付は3月31日までですから、気になる方は早めのご決断を。
<SPECIFICATIONS>
☆SILVER TOP
ボディサイズ:L3915×W1735×H1055mm
車重:1020kg
駆動方式:FR
エンジン:1496cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:132馬力/7000回転
最大トルク:15.5kgf-m/4500回転
価格:316万9100円
(文&写真/村田尚之)
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