ソニー「WF-H800」は“あえて攻めない”余裕がいい!?【イヤホンレビュー】

■音質のカスタム機能に注目

ソニー独自技術満載のミドルクラス完全ワイヤレスとなる「WF-H800」。音質面では、ハイレゾ級の高音質を実現する“DSEE HX”を搭載しています。級というのは、再生時にハイレゾ相当に変換という意味ですね。音切れを抑えて低遅延化する左右同時伝送方式にも対応。ただし、ノイズキャンセル機能は非搭載です。

そしてこの「WF-H800」、デザイン志向モデルであるという点も特徴。全機種ツートーンで、特にレッドは他にないほど鮮やか。それ以外のカラバリはナチュラル系になります。

カタチは、内側のブラックの部分が耳にしっかりとフィットし、さらに外側に横に伸びるプレートがあるという二段構成に。耳から前に伸びる赤いのボディが目を引き、実物以上に小さく見えます。なおイヤホンは片側約7.6gと、やや重め。

付属のイヤーピースはソニー製品で採用されている定番の“ハイブリッドイヤーピースロング”で、SS/S/M/Lサイズが付属します。

イヤホン本体での操作は、左右に搭載したボタンで行います。装着時に下にボタンが来るので、押しやすいデザインです。Rボタン1回で再生/一時停止、Rボタン2回押しで曲送り、Rボタン3回押しで曲戻し、Lボタン1回押しで音量アップ、Lボタン2回押しで音量ダウンになります。

なおペアリングは初回はケースを取り出すだけでスタートしますが、AndroidスマホならNFCタッチも可能です。

イヤホン本体とデザインを揃えた充電ケースも、イヤホンの収まりが良くコンパクト。イヤホン本体で最大8時間、専用充電ケースで8時間の最大16時間。本体バッテリーは十分ですが、ケース側の電池容量が意外と少なめです。

 

 

■iPhoneと組み合わせて音質をチェック!

宇多田ヒカルの『あなた』から聴くと、歌声もピアノの響きも滑らかな質感と情報で聴かせるナチュラル派。楽器も歌声も極端な音の目立ちがないフラットさで、オーケストラの音場感も丁寧。低音は程よく響きも伴って伝わるバランス。BrunoMarsの『24 Magic』はスクラッチや中域のエフェクトが普段よりクリアで、歌声と低域も適度なバランス志向。癖がなくいい音なのですが、フラットで物足りないかも。

「WF-H800」が本領発揮するのは“Headphones Connect”アプリで音質調整を始めてからでしょう。

アプリで音源をハイレゾ化する“DSEE HX”をONにすると、よりなめらかで上品なサウンドに。イコライザーも豊富で、例えば“Bright"なら歌声や高域に鋭さのあるキラキラ系。面白いのが“Excited”で、一気に高域のキレを持たせつつ重低音はディープに空間を満たすアメリカンなサウンドです。イコライザは8種類で、さらに“5バンドイコライザ+CLEAR BASS20段階”のマニュアル調整も可能。イコライザやカスタマイズを使い始めると、本来の地味めなサウンドなんて忘れるくらいに激変します。

音切れについては、都内の電車に乗ったりターミナル駅で乗り換えたりしてもゼロでした。

カスタマイズ機能含め音質は十分良くできているのですが、実売価格2万4000円前後と完全ワイヤレスイヤホンとしては若干高め。昨年7月に発売したノイズキャンセル付きの上位モデル「WF-1000XM3」が実売価格2万8000円前後でアプリも共通。となると、あまりお得感はないかもしれません。

でも、イヤホン選びって他人からも見える部分の“モノ選び”。「WF-1000XM3」は売れまくっているので街中でも頻繁に見かける。だったら差別化として「WF-H800」のコンパクトで個性的なカラーはアリなのでは。大手メーカーらしく“あえて攻めない”展開で定番化を狙った機種なのかもしれません。

>> ソニー「WF-H800」

 

>> [連載]イヤホンレビュー


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(取材・文/折原一也)

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