ドアを開けて運転席に座ると、高めのヒップポイントに高めの視点。これなら、より大きなSUVやミニバンから乗り換えた人でも、違和感は少ないはず。
インテリアは、樹脂類をムリに飾らず、そのまま見せているのがいい! 形状や色合いもシンプルで好感が持てます。試乗車には、センターコンソールやドアハンドルなどにオレンジの挿し色が使われていて、ポップですね!
ステアリングホイールを握って走り始めると、外観どおりキビキビ…というよりは、ちょっぴりノンビリした感じ。スズキのマイルドハイブリッドは、“ISG”ことモーター機能付き発電機が大活躍するシステムです。減速時には、発電機として働いてバッテリーを充電し、アイドリングストップから走り始める際にはスターターとしてセルモーターの役割を果たし、さらに加速時はモーターとしてエンジンを手助けします。
このハイブリッドシステムとCVTの反応が、せっかちなドライバー(←私です)の操作に対し、ビミョ〜に、ほんの気持ち程度ですが、ズレるんですね。ハイブリッドもCVTも、効率を優先するとドライバーの意図から外れ気味になるデバイスですから、イグニスは燃費を意識し過ぎたのかも。今後のブラッシュアップで改善されることでしょう。
…と、そんな重箱の隅を突くような感想は置いといて、見晴らしのよい運転席に座り、扱いやすいコンパクトなボディのイグニスをドライブしていると、あらためて“ドライブする喜び”を感じますね。「あそこへ行こう」「あんなことをしよう」「週末には…」と、人生の幅が広がる気がします。ちょっと大袈裟ですけど。
いかにも楽しげなイグニスは、いち早く“Appple CarPlay”にも対応しています。「全方位モニター付メモリーナビゲーション」をオプション装備すると(MG:14万4720円/MX、MZ:14万2560円)、センターコンソール上の7インチモニターを、あたかもiPhoneの画面のように扱えます。2本の指先で対象を拡大したり縮小したりできるほか、スワイプにも対応します。
操作は、自分のiPhoneをケーブルでつなぐだけ(物理的につなぐのが、分かりやすくていいですね)。するとナビ画面に、Apple CarPlayのアイコンが表示されるので、指先でタッチ。iPhone内のミュージックやメッセージを呼び出せます。YouTubeなどの動画系は音声だけになりますが…。もちろん、音声指示による電話の通話も可能です。
面白いと思ったのが、iOSのアプリである「マップ」も使えること。自車の位置情報に関しては、GPS情報に加え、速度や加速なども見ているナビゲーションシステムの方が正確ですが、情報の更新頻度ではiPhoneのマップにかなわない。つまり、補完し合う関係として使えるんですね。
クルマとしての魅力はもとより、プロダクトとしても愛でたくなるイグニス。試乗会場には、グリルをカラーで縁取ったり、ボディにストライプを入れたりした“カラーアクセントパッケージ”装着車も展示されていました。これまた個性的で、興味を惹かれます!
純正アクセサリーはもちろん、今後、サードパーティから次々とイグニスのパーツが発売されるようなことになったら、停滞気味の小型車市場が、にわかに活気づくのではないでしょうか? イグニスは、そんな期待を抱かせるニューモデルです!
<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドMZ
ボディサイズ:L3700×W1660×H1595mm
車重:880kg
駆動方式:FF
エンジン:1242cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:91馬力/6000回転
エンジン最大トルク:12.0kg-m/4400回転
モーター最高出力:3.1馬力/1000回転
モーター最大トルク:5.1kg-m/100回転
価格:164万1600円
(文&写真/ダン・アオキ)