5800円で超お得!たった30分で組み立てられる簡単ロケットストーブの威力がすごかった

■強い火力を生かして作ったキャンプ飯

プレートで区切られた燃焼室と煙突の位置関係からロケットストーブ にもなっているようで、煙突先端からは楽しみにしていた高火力の火柱が上がっています。これは期待ができそうだということで、どんなキャンプ飯が作れるか試してみました。

まずは高火力の煙突先端コンロに鋳鉄スキレットを置き「エビとブロッコリーのアヒージョ」。少し多めに入れたオリーブオイルはあっという間に沸騰し、エビはほんのり桜色に。

そしてもう一品は煙突の真下、サブ天板を開いたところに置いた網の上で、厚手の牛ステーキが盛大な音を立てながら焼き上がりつつあります。

とにかく火力が強いというのが、このストーブで調理した第一印象です。今回の焚き火で使った薪は、さほど良い薪ではなく、数も両手で掴めるくらいのものでした。そのわずかな薪でこれだけのパワーを得られるとは、嬉しい誤算というしかありません。

ユラユラ揺れる炎を愛でながら、香ばしいステーキとアヒージョを摘みに、ワインを一口。最高の瞬間ですが、実は今回の焚き火料理の主役はまだ登場していません。このあたりで満を辞してメインディッシュの調理に取り掛かりました。

今回のメインは「ビンチョウマグロの炙り」です。脂ののったビンチョウマグロの柵に竹串を打ち、高火力の煙突バーナーで炙り焼きにしようという魂胆です。

煙突から立ち昇る炎。その火力は凄まじく、みるみる間に薄紅色の身は焔に包まれ香ばしく焼きあがる…はずだったのですが、あまりに火力が強すぎて、竹串に火がついてしまいました。これは失敗。金属製の串を使うべきでした。慌てて火から下ろします。

火にかけたのは短時間でしたが、それでも身にはうっすらと焼き目が入っており、とても美味そうです。その身をサッと氷水で締め、厚めにスライスすればメインディッシュのできあがり。「わさび醤油」で和風にいくのも良いですし、「オリーブオイルに岩塩」でカルパッチョ風にしても美味しいです。ちなみに私からは「ごま油+おろしニンニクと岩塩」を強く推薦したいと思います。

ついでにキャンプの定番朝食を作ってみました。一度火を消しても、焚火缶なら火付きがいいため、コーヒー用のお湯もあっという間に沸騰します。

寝起きに焚火の再点火は煩わしい作業ですが、これなら簡単。

BBQの時は開けていたサブプレートを閉じ、火力を少し弱めにし、その上に鉄鍋を置いて、卵と厚切りハムのハムエッグを作りました。サブ天板上にある吸気口の穴は直火焼きにも使えるので、直火焼きの香ばしいトーストもすぐに焼きあがります。

※ ※ ※

今回、使用した焚火缶ですが、期待した以上の楽しさと便利さでした。メリットの一つが煙の少なさです。未燃焼ガスが煙突内で燃えきるので、キャンプの焚き火でつきものの、目がしばしばする煙が非常に出にくいのです。また薪を効率よく燃やせるので、薪の使用量が少なくて済むのも助かります。結局、煙突を2本用意しましたが、よく乾燥された薪を使うなら1本で十分な上に、1本の方がコンロとしても使いやすい高さでした。

デメリットは本体がペール缶なので火が見えにくく、焚火の炎を愛でづらいことでしょうか。あと底面が薄い金属板のため、地面に直置きで使用すると植生への影響は大きいです。直火禁止のキャンプ場などで利用するときは底上げする工夫もいると思います。耐久性への疑問は、今回の利用だけではわからないので、しばらく使い続けてみたいと思います。何よりも、あの煙突から吹き出す炎は美しくて迫力満点。シンプルな道具ゆえ、アイデア次第で色々な使い方もできると思います!

>>遊火人


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写真・文/阪口 克

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。

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