■美しく強く、そして機能的な鍋のできるまで
アルミ製の雪平鍋や銅製の卵焼き器、鉄製のフライパン…鍋は工業製品であり、日常的に使うものながら機能美の塊。このカーボン製の鍋もまたその1つ。
洋風の雰囲気ながら、れっきとした日本製。作っているのは大阪に拠点を構える1962年に創業のアナオリカーボン。工業用カーボングラファイトの精密加工、カーボンファイバーを用いた素材の加工などを50年以上手がけるモノづくりの会社です。
カーボン素材を活かした調理器具の研究は、20年以上も前から。某大手電機メーカーの内釜に採用されているので、知らず知らずのうちにアナオリカーボンの実力を舌で感じている人も多いかもしれません。
「アナオリカーボン ポット」の製造工程は、原料作り→成形→寸法確認→磨き上げ→セラミックコート→カラーコート→検品・出荷。
上写真の筒状のものが、鍋の元となる純度99.9%のカーボングラファイト。膨大な圧力と3000℃での焼成を繰り返し、作り上げるまでに掛かる日数はなんと100日! というから驚きです。
0.01mm単位まで対応できるる切削加工技術を用い、オール加工成形ならではの高い精度を実現。本体にフタがピタッと閉まる密着精度には匠の技が光ります。
溶かして固めるわけではなく、素材となる炭素体を1つずつ削り出して成形。成形後は寸法を確認し、滑らかな曲線の鍋に仕上げられていきます。
寸法を確認した後の磨き上げの工程では、削り出したポットを職人が手作業で1つずつ丁寧に研磨。
この後、内側がセラミックコーティングされ、外側にはマットなコーティングが施されて完成です。手作業で仕上げられるため、個体差が個性となって愛着が湧きます。
国宝永保寺からヒントを得たという、三角形が連なったシンプルかつ美しいフォルムで、「GOOD DESIGN AWARD2016」をはじめ数々のデザイン賞を受賞しているのも納得。
機能的面で特に秀逸なのが、このフタと鍋。フタには2箇所の凹みがあって、本体の目印に合わせると蒸気の通り道ができる構造です。
このフタを上から見た状態がオーディオのボリュームつまみに見えるのが、その名「アナオリカーボン ポット VOL.(ボリューム)」の由来。ピタッとハマって気持ちよく、まさに高級なボリュームダイヤルのようにスムーズに回せます。
ちなみにスペックは以下の通りです。
外径:22.0cm
高さ:12cm
容量:2.1 L(満水時)
重さ:2.0Kg
素材:カーボングラファイト
内面:セラミックコート
外面:耐熱塗装
熱源 : ガス直火・IHクッキングヒーター・他対応