握り易い取っ手タイプのグリップ。スリングベルトが付属するので肩掛けすると重さを感じません。携帯を目的としたハンディライトとは違い、限られた時間に目的を達成するためのライトになるので、これくらいの重量感は致し方ないかと。重量のほとんどはヘッド内部の放熱フィンとライト本体に内蔵されるリチウムイオンバッテリーです。
180度に可倒するヘッド及びボディは耐衝撃性に優れたスーパータフナイロン樹脂。ヘッドカバーの内側には放熱を促すためのアルミ合金製のフィンがあり、これが安定した連続点灯を可能にしています。
ヘッドの分解はドライバー1本で可能。清掃やメンテナンスも簡単に行えます。またストリームライトは代理店であるルミテック日本より補修部品を取り寄せることができます。
スモールパーツに関しては少々入荷に時間はかかるかもしれませんが、こうして簡単に分解できるので、ユーザー自身がパーツを交換することは可能です。現場にて激しい使用を前提としたものなので、「壊れない」ことが凄いのではなく、「直せる」ことが重要。
今回試してみようと思ったのが、「配光の変化」です。「バルカン180」は素晴らしい集光性を持ったライトです。また素晴らしい煙中透過性を持った配光なのですが、私の使い方ではいささか集光性が強すぎます。この配光が活躍したのは、昨年の台風の時くらいでした。もっぱら倉庫内での作業灯や自転車の軒下メンテナンスなど平和的な使い方しかしていません。
なので、「もう少しワイドでフラッドな配光の方がいいなぁ」とEフラッドを買わなかったことを少々後悔していました。まぁ、新しもの好きだったので仕方ありませんけどね(笑)。
「バルカン180」用の拡散玉とか作ってもらおうかと思いましたが、ワンオフでしかもデカいので無理だろうなぁ~なんて考えていました。
そんなある日、子供部屋の窓に遮光用のフィルムを貼ってほしいと嫁さんから打診があり、DIYでチャレンジ。フィルムを切るカッター以外には「霧吹き」と空気を抜くためのヘラが必要なくらい。素人でも簡単にできました。まぁ、仕上がりはそれなりですけどね。
で、余ったフィルムを捨てようとした時に「これは使えるかも!」と思ったわけです。「バルカン180」は前述の通りドライバー1本で簡単にヘッドがバラせます。風防レンズにこのフィルムを試しに貼ってみることにしました。残念ながら柄付きなんで見た目には悪いですが、とりあえず試しにと思ったわけです。
貼り方は簡単で、まずレンズの表面を中性洗剤などでキレイにして、霧吹きで水を吹き付けます。あとは、フィルムのシールを剥がして貼り付けて、中の空気をヘラで抜きます。これくらい小さなものであれば、専用のヘラでなくてもプラ板の下敷きなどで十分代用できると思います。
フィルムの柄が少しレンズにかかりますが、照射してみると全く問題ありませんでした。影が出ることもなく見た目こそ残念ですが(笑)、使用上の不便はないと思います。今度作るときは無地のフロストフィルムで挑戦します(多分)。
手元作業でデスクスタンド代わりに使うこともあるのですが、オリジナルだと集光性がキツく、しかも近距離過ぎると中抜けした配光になります。しかし、フロスト状のフィルムを貼ることで中抜けがなくなり、見やすい配光となりました。
オリジナルは強烈な中心光と薄い周辺光が発生しますが、フィルムを貼ったものは中心光と周辺光があいまいになり、結果的に全体的に明るくなります。このような配光は人間の視覚に合った配光だと言えます。暗い場所で一点のみが明るいとその部分に集中してしまい、周囲を見渡すことが困難になります。逆に暗い場所では、わずかな光でもあれば、その部分を「見よう」と瞳孔が開くのでさほど明るくなくても「見える」わけです。
配光の感じはオリジナルの「バルカン180」と「Eフラッド」を足して2で割ったようなものです。極端にワイドでもなく、スポットでもない、その両方が得られるもの。しかも、レンズの裂傷を防ぎ、劣化したり不要になったら簡単に剥がせます。
元々、遠方照射に優れたモデルなので、フロスト状のフィルムを貼っても中心光は健在。たまたま今回付けたものが光の透過性に優れたフィルムであったこともメリットとしてあったかもしれません。
ストリームライトの「バルカン180」は専用の充電チャージャーにセットして充電を行います。壁にチャージャーを取り付け、上からスライドさせて差し込むと充電を開始します。このスタンバイの状態が魅力です。家にいて、いついかなる時でも灯りを使える安心感は絶大です。所定の位置に置けるので、家族全員で認知できることも停電時などは役立ちます。携帯性に優れたコンパクトなライトだけがフラッシュライトではありません。日頃から備え、使うことでその真価が発揮されます。(アカリセンター価格:オレンジ4万1250円、イエロー4万3336円)
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文・写真/HATTA
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