さて、改良を受けたAクラスのラインナップを見てみましょう。
エンジンは、1.6リッター直4ターボ(122馬力/20.4kg-m)、2リッターターボ(218馬力/35.7kg-m)とそのハイチューン版(381馬力/48.4kg-m)が用意されます。トランスミッションは、いずれもデュアルクラッチ式の7速AT。駆動方式は、1.6リッターモデルはFF(前輪駆動)、2リッターは4WDとなります。
ヘッドランプがハロゲンになり、プライバシーガラス、シートヒーター、パーキングアシストなどが省略される「A180スタイル」(296万円/受注生産)、装備が充実したベーシックモデル「A180」(326万円)、AMGスタイリングパッケージを装着して内外装ともスポーティに振った「A180スポーツ」(387万円)、4輪駆動の上級版「A250 シュポルト 4マチック」(529万円)、そして、従来の最高出力から21馬力アップの381馬力を得た「AMG A45 4マチック」(713万円)の5グレードがカタログに載ります。車両本体価格が296万円〜713万円とは、ずいぶん価格帯が幅広いですね。
ちなみに、エンジン、トランスミッション、ステアリングのパワーアシストなどを統合制御する“ダイナミックセレクト”は、「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「インディビィジュアル(個別設定)」の4種類から選択可能。
「AMG A45 4マチック」では、これに替わって“AMGダイナミックセレクト”が搭載され、「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビィジュアル」、そして「レース」から、走行モードを選べます。「レース」は、サーキット等で行われる走行会で活躍することは、いわずもがなではありますが、クラッシュだけにはお気を付けください。
今回試乗した中堅グレードの「180スポーツ」は、素の価格が387万円ですから、フォルクスワーゲンの元祖ホットハッチ「ゴルフGTI」(6MT:389万円/6AT:399万円)といい勝負ですね。
Aクラスは1.6リッターターボ、ゴルフGTIは2リッターターボ。エンジンの出力差はともかく、足回りをはじめとする各要素がスポーツハッチとして熟成を果たしたA180スポーツは、果たしてスリーポインテッドスターのブランド力で、伝統あるGTIを一気にキャッチアップできるのか!?
…とまあ、メルセデス・ベンツのFFハッチが、普通にフォルクスワーゲンのホットハッチと比較できる時代になったのですね。初代Aクラスが登場してから早20年。“アナタと一緒”かどうかは分かりませんが、Aクラスがゴルフとガチで勝負できるステージに上がったことは、確実なようです。
<SPECIFICATIONS>
☆180スポーツ
ボディサイズ:L4355×W1780×H1420mm
車重:1400kg
駆動方式:FF
エンジン:1595cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:7AT
エンジン最高出力:122馬力/5000回転
エンジン最大トルク:20.4kg-m/1250-4000回転
価格:387万円
(文&写真/ダン・アオキ)