「電車でソロキャン」にはケルティのフレームパックが正解かもしれない

■長尺物を苦にしないところがイイ!

フレームがむき出しになったザックのことを“エクスターナルフレームザック”と言います(内部にフレームがあるものはインターナル)。1970年代、アメリカでブームとなったバックパッキングカルチャーを象徴するような存在です。

当時、日本でも数多くのフレームザックが発売されましたが、その後は軽いソフトザックが主流となり、いつしかその姿を見かけることはほとんどなくなりました。

しかしケルティは、頑なにフレームザックをラインナップし続けてきました。コットンのような風合いのコーデュラナイロン製の荷室と、素材感あるシルバーのアルミフレーム…。そう、この下部のアルミフレームだけの部分がポイントになるのです! 季節によって荷物の大きさが変わるキャンプ道具運びには、この部分が使えるんじゃないかと踏んだんです。

ソロキャンプで最も大きい荷物はやっぱりテント。そして寒い季節はシュラフ(寝袋)もかさばります。この2つをいかに運ぶかが今回の検証の肝になります。

今回、入れてみた荷物がこれ。やはり大きいのは、MSRのテント「エリクサー2」と、初冬まで使えるシュラフ、スナグパック「マリナー スクエア」。テントマットはエアータイプの小型のモノにしていますが、ヘリノックスの「チェアワン」や焚き火台、ランタンハンガーなど、長かったりそこそこ大きかったりといったモノも。

たしかにトレッキングと比べれば荷物は多めです。でもほら、そこはキャンプだから。荷物を絞って必要最低限ではなく、快適に過ごすためには少々荷物が増えてもいいじゃない。そんな気持ちで選んでみました。

最も大きなテントとシュラフは、下部のフレームにくくりつけます。でもこの「マウンテニア・フレーム・パック 3」には、ロープやストラップなどは付いていません。そこで用意したのが…

アメリカはカリフォルニア生まれのROK straps(ロックストラップ)。バイクやバックパックに荷物を積む際に使うストラップで、両端がループになっていて一部がゴム製、そしてバックルで留める方式です。今回はBPシリーズというバックパック用の細めを用意し、フレームに巻きつけて使いました。

テントとシュラフと焚き火台をまとめてストラップを巻きつけたら、最後はギュッと絞る。ちょっとへちゃむくれましたが、がっちり固定されていて、落ちる心配はまったくなし。

横から見ても、なんとかなっている…ことにしましょう(笑)。暑い季節になればシュラフは小さくなるし、テントもシェルターにすればかなり小さくできます。ストラップで固定するだけなので、荷物の大きさが変わっても関係ありません。またソフトザックの場合、ちょっと長さのあるモノは荷室での位置が固定されてしまい、他の荷物の自由度が減るのですが、フレームザックならただ幅が広がるだけ。もちろん歩くときは気をつかいますが…。ソフトザックによくくくりつけられている、パタパタ折り畳める定番マット、サーマレストの「Zライトソル」だって、ここにくくれそうです。

メイン荷室は、口の部分がフレームになっています。なので、常に四角を保ちます。そんなに広くはありませんが、「チェアワン」なら縦に入れられるぐらいの深さはあります。

さらに、メイン収納部のフタはかぶせ式になっていて、絞るヒモがかなり長いので、マットや長物はここに横向きに置いて、フタで固定するという使い方も可能です。

メイン荷室の下にもスペースがあり、さらに左右に大小2つずつ、大きめの収納が付いています。左右上側の収納は、500mlのペットボトルが2本ギリギリ入るか入らないかぐらい。下はもう少し小さいかな。細かいモノやすぐに取り出したいモノは、これらのポケットに入れておくと便利かも。ちなみに今回用意した荷物は左右の収納部を使わずにすべて収納できました。食材や飲み物が増えることを考えると、余裕があるのはいいですね。

また、サブ荷室の下にはレインカバーが入っていて、上の収納部だけですがまるっと覆えます。下にくくりつけた荷物はさすがに無理なので、心配なら大きめのゴミ袋などを用意しておくといいかも。

そして意外だったのが、背負い心地。肉厚なショルダーハーネスにチェストストラップ、腰部分にはサポートがあり、ウエストベルトもかなりしっかりしたモノなので、かなり安定します。そして結構快適。もっと硬い感じかなと思っていたんですが、これは意外です。

ショルダーハーネスは上の取り付け位置を3段階で変えられるようになっていますが、ウエストベルトはほぼ固定式。最新ザックのように細かく調整できるわけではありませんが、まぁそこはトレッキングじゃないから問題なし。ただし、さすがのアメリカンサイズなので、小柄な人の場合は、一度背負い心地を試してみたほうがいいかもしれません。

*  *  *

今となってはヴィンテージ感あふれるフレームザックですが、そのフレームを活かしたパッキングがキャンプ道具の運搬には向いているということがわかりました。やはり、長尺物やかさばるモノをどう運ぶかが「電車でソロキャンプ」ではポイントとなります。

これまで、「ザックに入らないから荷物は厳選した」「ザックの容量を考えてコンパクトなモノを買った」という人もいると思います。制約がある中での道具選びも楽しかったりするんですよね。でも「今回のキャンプはこの新ギアを持っていてあれをしてみよう」みたいな時にもなんとかしてくれそうなケルティの「マウンテニア・フレーム・パック 3」、結構アリかも。だって自由だからこそ、ソロキャンプではいろいろやりたいじゃないですか。

>> ケルティ「マウンテニア・フレーム・パック 3」

 


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取材・文/円道秀和<&GP>

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