旅カメラ!「コンパクト」に向く人「ズーム」に向く人の見分け方

我が家では、テレビ東京で放送されている『モヤモヤさまぁ~ず 2(以下:モヤさま)』を、毎週ほぼ欠かさず観ている。で、年初に さまぁ~ず が、台湾の台北市をぶらぶらと歩いているのを観て、「台湾行きたい!」ってことで意見が一致。さっそく台北行きを決めた。

そこで持っていくことにしたのがPanasonic 「LUMIX DMC-TX1」。TX1は、同社が2016年3月10日に発売したばかりで、ハイエンドコンデジとうたっているモデルだ。今回はすでに発売されている同社の「LUMIX DMC-FZ1000」もいっしょに持っていったが、TX-1の小型軽量さを実感した旅となった。

 

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Panasonic LUMIXシリーズ「DMC-FZ1000」(左)と「DMC-TX1(右)」

 

「LUMIX DMC-FZ1000」は、有効画素数2010万画素で1.0型のセンサーを採用。35mm版換算で25-400mm(F2.8-4.0)の光学16倍ズームというパワフルなレンズを搭載している。4K解像度の動画も撮れて、静止画と動画を高画質で記録できる1台だ。

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LUMIX DMC-FZ1000

 

一方の「LUMIX DMC-TX1」は、有効画素数2010万画素で1.0型のセンサーを採用する点は同じ。35mm版換算で25-250mm(F2.8-5.9)の光学10倍のズームレンズを搭載。FZ1000よりも、暗いレンズというのが気になるところ。4K動画も撮れて、「4K PHOTO」に対応。さらにFZ1000にはない「フォーカスセレクト」での撮影が可能(詳細は後述)。小さなボディの割には、やってくれそうなカメラだ。

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LUMIX DMC-TX1

 

FZ1000は良いカメラだが、子連れにはボディが大きい?

2台のカメラのうち、初めに使い始めたのが、使い慣れているFZ1000。ガッチリとしたボディは、グリップしやすく、ズーム時にも安定した姿勢で撮影できる。それゆえ、手ブレの影響は、コンデジと比べれば明らかに少ない。

 

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記念すべき台湾で初めて撮った写真。残念だったのは頼んだ食事が、あまり美味しくなかった点。食事を楽しみにしていただけに、前途に暗雲が……(FZ1000)

 

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ホテルの窓辺で、iAオートで撮影。25mm/f3.6の設定になっていたが、ボケ味がいい感じ(FZ1000)

 

だが使い始めた初日に気になったのが、やはりボディの大きさ。レンズ交換こそする必要がないが、同社の一眼レフよりも大きなボディは、子どもを抱えながら撮る時に、撮影しにくい。どちらかと言えば、旅行先でもじっくりと構えて撮影したくなるカメラだ。

やっぱり子連れカメラはコンデジに限る!

台湾に到着したのが夜だったため、2日目が実質的な台北の街を見る初日ということになった。朝から2台のカメラを持って朝食を食べると決めていた場所まで、普通なら15分くらいの道のりを30分かけて歩く。目指すは、超人気店として有名な「阜杭豆漿」。

この時には、TX1を主に使用。さすがに「TX1」は、小さいし何より軽いと実感。袈裟懸けにしていれば、「撮りたい!」と思う直前まで、その存在すら忘れてしまうほどだ。

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台北は、とにかくバイクが多かった。信号待ちの時にはバイクが最前列に並び、青になると一気に飛び出す感じ(TX1)

 

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「阜杭豆漿」の店に着いた時には、既に長い行列が。子どもをあやしつつ、写真を撮りつつ、店に入れたのが30分後だった(TX1)

 

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台湾では調理場が入ってすぐにあることが多かった。「阜杭豆漿」も“見せる調理場”的なガラス張りの部屋で作っていた(TX1)

 

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ナンのように焼く料理が多く、フワッフワな食感が楽しめる。でも、なんていう食べ物だったかは不明。基本的に「アレが欲しい!」と身振り手振りで注文(TX1)

 

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食べると眠くなる我が子。被写体ブレすることなくキレイに撮れる(TX1)

 

「阜杭豆漿」でブランチをした後は、地下鉄に乗って龍山寺駅へ。「モヤさま 2」のスタート地点だった場所だ。着いた時には子どもが熟睡していたため、混雑している龍山寺に行く前に、街をぶらりと歩いてみることにした。

 

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SDカードを補充した、怪しい客引きの女性がいた雑貨屋さん。レジのおばちゃんが、足元のダンボールからガサゴソと出してくれた32GBのSDカードは、690圓=2600円くらい(TX1)

 

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龍山寺から通りを挟んだ一帯を歩いてみたが、裏通りを覗くと、風情と反比例して不穏さが漂っていた(TX1)

 

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東京で言えば浅草の新仲見世通りという感じのアーケード街。このあたりは夜店が出るところらしく、お昼はシャッターが下りている店が多い(TX1)

 

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あまり使わないワイド端での撮影。開店中の飲食店もチラホラあるけれど、なんかテキトーに商売している雰囲気。こういうダルい街の空気感が好き(TX1)

 

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ずんずんと歩いていくと、提灯がキレイに掛けられた通りへ。台北は、油断すると外国に来ている感じがしなくなるのだけど、ここは“台湾らしい”風情(TX1)

 

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何十年前のバイク? というのが、あちこちで使われている。全体の侘び寂び感というかポンコツ感が仕上がっている(TX1)

 

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通りの途中に突然あった、艋舺青山宮。どうやら通りの提灯は、この寺と関係があるらしい。ちなみに「風調雨順」とは、物事がすべて上手く運ぶようにという願いが込められた言葉……らしい(TX1)

 

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この青山宮が、中華圏で初めて訪れた寺院。建物の隅々まで彫刻が彫られていて、彩色がほどこされていることに驚いた。まさに京劇の世界に来たようだ(TX1)

 

FZ1000の光学16倍とTX1の光学10倍ズームを試す

筆者のようにスナップ専門の日曜カメラマンには、三脚は荷が重すぎる。そこで高倍率ズームカメラで重要になるのが、手持ちでどれだけ鮮明な写真が撮れるか? FZ1000とTX1を比較すると、FZ1000が断然有利となる。何より機動力はやや劣るものの、本体、特にグリップが大きく、手持ちでも固定しやすいからだ。さらにTX1よりも明るいレンズを搭載している。

実際に結果を見ると、100mm相当以上でズーム撮影した場合、満足のいく写真はFZ1000の方が多かった。両機のセンサーサイズは同じなので、シャッターを切る時のボディの固定しやすさやに違いがあるのかもしれない。FZ1000は無意識のうちに、しっかりとホールドして撮影しているのだろう。

 

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焦点距離235mm相当くらいで撮影。F値はF4で露光時間は1/125。こちらの方が被写体に動きがある上に、シャッタースピードは低速。それでも鮮明度が高い(FZ1000)

 

焦点距離245mm相当くらいで撮影。F値は5.9で露出時間は1/400。400メートルくらいの距離にある背後の龍山寺が迫った感じで写る(TX1)

 

焦点距離90mm相当、F5.1、1/800で撮影。このくらいの焦点距離であれば、クッキリと鮮明。屋根の瓦や像の質感まで描写してくれている(TX1)

焦点距離90mm相当、F5.1、1/800で撮影。このくらいの焦点距離であれば、クッキリと鮮明。屋根の瓦や像の質感まで描写してくれている(TX1)

 

まったく同じ環境でテストしたわけではないので、あくまで感覚的なものだが、やはりFZ1000の方が望遠撮影では有利なように感じた。そうは言ってもTX1の性能が著しく劣るわけではない。また、光量が足りない場所でもしっかりと被写体の質感まで写し込んだ写真を、いくども撮ってくれている。

金獅大酒楼の小籠包。ワゴンで運ばれてくる小籠包を「あれとそっちとこれちょーだい」という感じで選んでいくのを初体験。店員のおばちゃんたちが、やたらとフレンドリーだった(TX1)

金獅大酒楼の小籠包。ワゴンで運ばれてくる点心を「あれとそっちとこれちょーだい」という感じで選んでいくのを初体験。店員のおばちゃんたちが、やたらとフレンドリーだった(TX1)

 

ぶらりと入った店「温州大饂飩」の蛯入りワンタン。目的の店が閉まっていたため、テキトーに入った店だったが、このワンタンは美味しかった(TX1)

ぶらりと入った店「温州大饂飩」の蛯入りワンタン。目的の店が閉まっていたため、テキトーに入った店だったが、このワンタンは美味しかった(TX1)

 

「鼎泰豐」は、頼んだ全てがハイクオリティだった。もちろん他に行った店とは価格が違うから比較すべきではないけれど……。このスープも美味!(TX1)

「鼎泰豐」は、頼んだ全てがハイクオリティだった。もちろん他に行った店とは価格が違うから比較すべきではないけれど……。このスープも美味!(TX1)

 

同じく「鼎泰豐」の餡饅。造形がキレイ! 味は……とろりとした漉し餡が甘くて美味しいのだけれど、けっこう日本のコンビニも負けていないな、と思ってしまった(TX1)

同じく「鼎泰豐」の餡饅。造形がキレイ! 味は……とろりとした漉し餡が甘くて美味しいのだけれど、けっこう日本のコンビニも負けていないな、と思ってしまった(TX1)

 

同じく「鼎泰豐」の餡チマキ。やや餡饅とかぶる味だが、こちらはもっとモチモチとした食感が楽しめた。いやぁ「鼎泰豐」は、並んででも入って良かったなぁ(TX1)

同じく「鼎泰豐」の餡チマキ。やや餡饅とかぶる味だが、こちらはもっとモチモチとした食感が楽しめた。いやぁ「鼎泰豐」は、並んででも入って良かったなぁ(TX1)

 

「鼎泰豐」を出たあとに、食後の運動に歩いていたら出くわしたのが「金鶏園」。お腹空いてないんだけど……テイクアウトして近くの公園で食べたら、これまた美味しい。アメリカのハンバーガーと同じくらい、台湾の小籠包は外れがない(TX1)

「鼎泰豐」を出たあとに、食後の運動に歩いていたら出くわしたのが「金鶏園」。お腹空いてないんだけど……テイクアウトして近くの公園で食べたら、これまた美味しい。アメリカのハンバーガーと同じくらい、台湾の小籠包は外れがない(TX1)

 

もはや何の記事を書いているのか分からなくなってきた(笑)。

気を取り直してカメラの使用感。光量が不足しがちな場所、レストランで撮っても、食事も美味しそうに記録に残せるのが「TX1」だった。iAオートで食事にレンズを向けると、自動で被写体が食べ物だと認識して、最適な設定で撮ってくれる。ソフトウエア上で何をしているのか、その詳細は不明だが難しい食の撮影をキレイに撮ってくれるのだから、グルメな人には嬉しいカメラだろう。

 

夜の街を歩きながらスナップ

早くも最後となってしまった夜は、特急列車に乗って、九份という場所に行ってきた。場所自体は……100%純正の観光地という感じでイマイチだったが、日本で言えばJRにあたる「臺灣鐵道」に乗っていく旅は、台湾人の人情にも触れられる楽しいものだった。そしてここでは、夜の街を撮影するという、カメラの真価が即時に分かってしまうテストを行った。

 

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100%観光地の九份の路地。狭い道の両脇には土産物屋と食事処が並び、観光客がぶつかりあいながら歩いている。カメラを持っていなかったら、すぐに帰りたくなっていたかも……(FZ1000)

 

こうした土産物屋が何十件も並んでいる。日本の観光地よりは店ごとにバラエティに富んだ商品を売っている(FZ1000)

こうした土産物屋が何十件も並んでいる。日本の観光地よりは店ごとにバラエティに富んだ商品を売っている(FZ1000)

 

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見晴らしは良いが、夜景はイマイチ。ただ、手持ちでパシャリとシャッターを切っただけで、真っ暗なシーンをこれだけ描写できるFZ1000はスゴイ!(FZ1000)

 

実はもっと提灯の灯りがズラァ〜っと並んでいるのかと思いきや、それほどのこともなかった九份の街。手持ちでスナップをパシャパシャと撮っていった(TX1)

実はもっと提灯の灯りがズラァ〜っと並んでいるのかと思いきや、それほどのこともなかった九份の街。手持ちでスナップをパシャパシャと撮っていった(TX1)

 

台北の市街地に戻ってくると、夜の9時を過ぎているのに交通量は昼間とまったく変わらない様子。バイクが多いこともあって、活気を感じられる夜だった。アジアって落ち着く(TX1)

台北の市街地に戻ってくると、夜の9時を過ぎているのに交通量は昼間とまったく変わらない様子。バイクが多いこともあって、活気を感じられる夜だった。アジアって落ち着く(TX1)

 

高解像度での動画撮影を利用した秀逸機能「フォーカスセレクト」

これまで、カメラの基本性能について書いてきた。だが、特にTX1には、便利な撮影機能がプラスされていた。そのひとつが4K解像度での動画撮影を利用した「4Kフォト」と「フォーカスセレクト」。

「4Kフォト」については、LUMIXの4K対応機は、これまでも搭載していた機能で、今回使った2モデルも搭載している。簡単に書けば、4K相当の精密な動画を撮影し、その中から残したいひとコマを静止画として切り出すというもの。

この4Kフォトを、さらに進化させたのが「フォーカスセレクト」だ。言うまでもなく、通常の撮影では被写体を狙っている時点でフォーカス位置(ピントを合わせる位置)を選ばなければいけない。でもこの「フォーカスセレクト」で撮影すれば、撮影後にフォーカス位置を自在にセレクトできるのだ。

仕組みはシンプルで、フォーカス位置をズラしながら高解像度の映像を撮影している。そして「4Kフォト」と同様に、撮影後にカメラのモニターを見ながら「ココだ!」というフォーカス位置をタッチすれば、そこにピントが合った写真になる。それを静止画として残せるのだ。

 

【動画 フォーカスセレクト関連動画】

 

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花や食事などを撮影する時に便利そうなのが、フォーカスセレクト機能。手前の花にピントを合わせた写真(TX1)

 

奥の花にフォーカスした時の写真(TX1)

奥の花にフォーカスした時の写真(TX1)

 

フォーカスセレクトは、特に料理や花などを撮影する際に、役立ちそうだ。「まだ自宅のテレビが4Kじゃないから」とか4K解像度で動画を撮る必要性を感じていない人は多いかもしれない。だが、4Kでの動画撮影が可能だからこそ実現する、こうした機能を活用すれば、より思い通りに撮れる写真が増えることも知っておきたい。

 

(文/河原塚英信

かわらづかひでのぶ/エディター、ライター

かわらづかひでのぶ/エディター、ライター

モノ情報誌『BestGear』の編集者として家電製品を10年以上追い続けた後に、フリーランスの編集ライターへ。現在は生活家電専門の情報サイト『家電Watch』を中心に、雑誌では『GoodsPress』『週刊SPA!』など

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