XC90としては、2世代目となるニューモデル。“SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)”と呼ばれる、伸縮自在の新しいプラットフォームと、“DRIVE-E”こと新世代のパワートレインを組み合わせた、心身ともに“ブランニュー!”のボルボがXC90です。
シンプル&モダンなデザインが自慢の新型XC90。特徴的なショルダーラインは、ボルボのアイデンティティのひとつですね。ヘッドライトを横切るT字型のポジションライトは、北欧神話に登場するトール神(雷神)が持つハンマーをモチーフにしたものだとか。“神々のたそがれ”ならぬ“内燃機関のたそがれ”をも意味している…というのは、スイマセン、私が勝手に考えました。
XC90のグレードは、装備レベルによって「モメンタム」「Rデザイン」「インスクリプション」と3段階に分かれます。ベーシックなモメンタム、スポーティなRデザイン、ラグジュアリーなインスクリプションという棲み分けです。
このうち、今回ドライブしたのは「T6 AWD インスクリプション」と、専用カラーの“バースティングブルーメタリック”に塗られた「T6 AWD Rデザイン」です。
XC90のインテリアで印象的なのは、センターコンソールに設けられた9インチのタッチスクリーン式センサーディスプレイ。ナビゲーションを始め、車両の設定、空調、オーディオなどを指先で操作できます。
このディスプレイは、画面(フォトダイオード)から赤外線を放出、それが指などで遮られることで、タッチされた位置を特定します。なので指を押しつける必要はありませんし、冬場などは手袋をしたままでも操作可能。かつてのボルボ車は、手袋をしていても操作しやすいよう、ダイヤルやスイッチ類を大きく作っていましたが、その伝統が21世紀になって復活したのですね。“北欧らしさ”を感じさせる装備です。
ボルボは、目を引くセンターディスプレイに加え、メーターナセル内の12.3インチディスプレイ、フロントスクリーンに投射されるヘッドアップディスプレイ(T6 AWD インスクリプションとT8 ツインエンジン AWD インスクリプションに装備)を併せ、“SENSUS(センサス)”と名づけました。クルマと人とのインターフェースを、システマティックに組み立てようというのです。「すぐに必要な情報」は目の前に表示し、「補助的、嗜好的な設定」はセンターコンソールから操作するというのがコンセプトです。
これまでも、クルマの内部で無数に使われていたコンピュータが、いよいよ表面に現れてきた感じですね。物理的なダイヤルやスイッチ類を少なくできるので“インパネまわりのデザインの自由度が増す”のと、機械的な摩耗や故障を減らせる、パーツのコストを圧縮できる、といったメリットがあるのでしょう。メーターナセル内の計器は、液晶に表示された情報に過ぎませんから、走行モードによって、カラーや表示内容を簡単に変更できます。
将来的には、センターディスプレイの表示内容やインターフェースの方法も、複数用意できないものでしょうか? 例えば、年配の方向けに、ラジオのオン/オフスイッチや音量ダイヤル、エアコンの温度調整ダイヤル、はたまたオーディオの“一時停止”や“曲飛ばし”ボタンなどを、それぞれ表示させるのです。液晶周りをスッキリさせる一方、画面内は少々煩雑になるかもしれませんが…。
逆に、ギーク層向けには、(安全に関わらない部分で)徹底的にカスタマイズできる画面を用意する。さらにサードパーティも引き入れて、さまざまなテーマをダウンロードできる環境を提供しても面白いかもしれません。
だったら、通信機能を持ったiPadなどのタブレット端末をはめ込めるようにすればいい? そうした考え方も「アリ」ですね。水面下では、自動車や部品、コンピュータ、ソフトウェア会社などが、激しいつばぜり合いを演じているはずです。