LUMIX DMC-CM10はカメラ
まずスマホカメラ(正式には「コミュニケーションカメラ」)を紹介します。
2月下旬に発売されたパナソニックの「LUMIX DMC-CM10」は、OSにAndroidを搭載するカメラです。SIMカードを挿入してモバイル回線を利用できるので、撮影した写真をPCやスマホに転送することなく、直接SNSなどにアップロードできるのが特徴。地図を開いたり、YouTubeを見たり、Playストアからアプリをインストールしたりすることも可能です。ただし、音声通話はできません。
カメラとしては、1.0型の高感度MOSセンサーを搭載しています。また、有効画素数は2010万画素。つまり、ハイエンドコンパクトカメラと同等の撮影が可能というわけです。レンズには、28mm(35mm判換算)の「ライカ DC エルマリートレンズ」を使っていて、F値は2.8。ISO感度は100~25600。RAW形式の撮影にも対応します。
厚みは「ポケットにギリギリ入る」絶妙なライン。ボディ部分が15.2mm。 レンズ部分が21.1mmあります。スマホとしては分厚く、カメラとしては薄いといったところでしょう。
なお、本記事の執筆時点では、実売価格は9万円前後。
<LUMIX DMC-CM10>
●OS:Android 5.0 Lollipop
●画面:4.7型 フルHD
●CPU:Snapdragon 801(クアッドコア、2.3GHz)
●ROM:16GB
●RAM:2GB
●電源:2600mAh
●連続待ち受け時間(LTE):約630時間
●バッテリー実撮影可能時間:約70分(MP4 / 4K/15pモード)
●寸法:約W135.4 x H68.0 x D21.1mm(ボディ部約15.2mm)
●質量:約204g(メモリーカード、SIMカード含む)
●通信方式:
・4G(LTE)
FDD Band1、3、4、5、7、8、20
カテゴリー4
・3G(WCDMA)
FDD Ⅰ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅷ
HSDPA カテゴリー24
HSUPA カテゴリー6
・2G(GSM)
850、900、1800、1900
GPRS/EGPRS:Class10
ZenFone Zoomはスマホ
続いて、カメラスマホの一例を紹介しましょう。
撮影機能に力を入れるスマホは数多くありますが、最もカメラっぽいのがコレ。ASUSが2月上旬に発売した「ZenFone Zoom」です。光学3倍ズームに対応しているのが特徴。ベースはスマホなので、もちろん通話可能です。
カメラとしては焦点距離28-84mmのHOYA製レンズユニットを搭載。約0.03秒の高速レーザーオートフォーカスもウリです。光学式手ブレ補正にも対応しています。
こちらもスマホとしては厚みがありますが、ポケットにはらくらく収まります。ただし、5.5インチの大型なので、椅子に座るときにはちょっと窮屈に感じるかもしれません。
価格は直販サイトで、5万3784円~となっています。
※ZenFone Zoomの過去記事はコチラ
画質で選ぶならCM10が優勢
※機器貸出日程の都合で撮影日が異なっております、照明の具合が若干違うのでご了承ください。
どちらもSNSにアップする程度なら充分な画質ですね。しかし、今回はせっかく比較するので、あえてアップにしてみました。
CM10の方が、花びらの輪郭がシャープなのが分かります。画質に関してはLUMIXの方が上と考えてよさそうです。
キレイなボケ具合もCM10が圧勝
続いて、大きな差があったのは「ボケ」の具合です。
CM10はかなり綺麗に背景がボケています。スマホ代表のZenFone Zoomでさえ及びません。ただし、ZenFone Zoomもスマホとしては、かなりボカシが利いています。
使い勝手はZenFoneがやや有利か
使いやすさも比較検証しました。
1.カメラとしての機能は?
<LUMIX DMC-CM10>
CM10には、スライド式の「camera」ボタンが付いていて、これを使うと一発でカメラアプリが起動します。
ストラップホールも付いています。
撮影時には、シャッターボタンの半押しでフォーカスが可能です。
デジタルズームはMAXで4倍。そのうち光学ズームに近いクオリティのEX光学ズームは2倍までです(撮影サイズによって異なります)。
<ZenFone Zoom>
一方、ZenFone Zoomもシャッターボタンの長押しでカメラアプリが起動します。こちらも半押しでフォーカス可能。端末の側面が薄いので、やや持ちづらいですが、付属のストラップを使えば、落下の心配が減るので、特に気にせず使えます。
ズームはMAXで12倍。そのうち光学ズームは3倍までです。数値だけみると、ZenFone Zoomの勝ちですが、センサーサイズの大きいCM10も、撮影後にトリミングすればOKなので、ここはそれほど差が生じないかもしれません。
2.操作性はどうか?
さて、筆者が若干気になったのは、レンズが飛び出るかどうかという点です。
<LUMIX DMC-CM10>
CM10はカメラアプリ起動時にレンズが「うぃ~ん、がしゃん」と飛び出ます。これ自体は大したことではないのですが、撮影した画像を写真アプリを開いて確認する度にレンズが引っ込むので、いろいろ検証している際に「うぃ~ん、うぃ~ん」とずっと鳴っているのが気になりました。
また、近距離撮影の際に、ピントを合わせようとすると、調節用の光(フラッシュのような)ものが出ることがあります。急に出てびっくりするので、レストランなどで使用する際には、気を付ける必要があるでしょう。
さらに、ディスプレイの端にスイッチが表示されるので、結構頻繁に間違いで触れてしまうことがあります。「おっ、いい感じの構図」と思った瞬間に、設定ボタンに触れてしまって撮影できない、ということが起こりそうです。操作は通常のスマホとしてではなく、カメラとして操作に慣れる必要がありそうでした。
<ZenFone Zoom>
一方、ZenFone Zoomはレンズがまったく飛び出ません。光学3倍ズームをしても飛び出ません。まぁ、「カシャッ」っという切れのいい撮影音は個性的ですが、比較的穏やかに使えると感じました。接写もかなり近くで撮れるのが高評価です。
また、ディスプレイも大きくて綺麗で、誤操作しにくい。この点がスマホならではと言えます。
3.撮影機能の楽しさ、充実度は?
スマホ的に使うなら、撮影機能の豊富さも重要です。
<LUMIX DMC-CM10>
CM10にはデジカメとしての本格的な機能が搭載されているので、シャッタースピードを調整するなど、基本何でもできると思ってOKです。ただし、ある程度カメラの知識が必要となります。
注目したいのは、「4K連写」機能。シャッターボタンを押す前後の写真をそれぞれ22枚撮影できるので、シャッターチャンスを逃しません。連写した写真は自動で端末に保存され(設定で変更可能)、あとから写真アプリへ保存する一枚を選択できます。
<ZenFone Zoom>
さて、ZenFoneも多機能です。いろんなエフェクトをかけることができるので、SNSに投稿しやすい面白写真を撮りやすいでしょう。
中でも、筆者が個人的に面白いなぁと感じたのは「GIFアニメーション」の撮影ができること。シャッターを長押ししている間のみ連写になるので、工夫次第で面白動画がつくれます。
まとめ
「やっぱり高精細で、美しいボケ味の写真を撮りたい!」という人は、1.0型イメージセンサーを搭載する「LUMIX DMC-CM10」がオススメです。ただし、通話はできません。また、あくまでもカメラなので、スマホ感覚でアプリ操作をする際に「使い心地」の面で課題が残ります。
「気軽にそこそこ綺麗な写真を撮ったり、面白写真を撮りたい!」という人には、「ZenFone Zoom」がオススメめ。もちろん「スマホとして使うので、通話機能はマスト」という人もこちらがよいでしょう。ただし、本格的なデジカメと比べると、画質の面で勝てない部分もあります。
ちなみにカメラ機能が優れているほかのスマホについてはこちらの記事でチェックしてみてください。
関連記事:比べて分かる!iPhoneと人気スマホのカメラはどれがいい?
(文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。
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