それでは、ラゲッジスペースの使い勝手を検証するために、サードシートを折り畳んでいつもの撮影機材を積むことにしましょう。
積み込む荷物は、国内線の機内持ち込みが可能なカメラバッグ、3段の脚立、ライトスタンドバッグ(長さ120cm)、三脚、レフ板セット、ふたつの大型ストロボ、そして、メイクさんが持参するバッグを模したトラベルケースです。
実は、脚立が意外と難物なんです。縦85×横47cmで、厚さは17.5cm。台形のカタチだから、また収まりが悪いこと。
サードシートを倒したXC90のラゲッジスペースをメジャー片手に実寸したところ、奥行きは125cm。あっさり脚立を縦に収納することができました。これでもう、勝ったも同然(!?)です。
さらに、前述の機材をすべて飲み込んだ上で、まだまだ余裕があります。荷車は“絶対的な大きさがものをいう”という、当たり前の事実を再認識した次第。フロアの横幅は113cm(ゲートそばの最大部は139cm)。荷室カバーまでの高さは44cm。荷室容量は692リッターです。
ちなみに、サードシートを立てた状態でも、荷室の奥行きは54cmが確保されます。314リッターという、ちょっとしたハッチバックに匹敵する荷室容量が得られるのみならず、この空間が万が一の際のクラッシャブルゾーンとしても作用します。サードシートの安全性もおろそかにしない、ボルボらしいこだわりですね。
そのほか、オプションのエアサスペンション(30万円)を選択すれば、荷室側壁のボタンを押すことで、フロアを50mm低くすることができます。重い荷物の積み降ろしが、ちょっぴり楽になりますね。
今回のテスト車は、2リッター直4ターボ+スーパーチャージャー(320馬力/40.8kg-m)を搭載した「T6 AWD インスクリプション」(909万円)でした。
もし自分がオーナーになった暁には、撮影が終わった後“B&W(バウアーズ&ウィルキンス)プレミアムサウンド・オーディオシステム(サブウーハー付き)”(45万円)を“イエテボリ・コンサートホール・モード”にし、シベリウス…はフィンランドだから、グリーグ…はノルウェーだけど、とにかく、北欧の作曲家のクラシックを聴きながら帰路につけば、疲れが癒されるんじゃないかと思います。
XC90は高価だけど理想的な機材車であり、趣味の世界でも大活躍してくれそうな1台です。ちなみにラゲッジスペースの壁には、5kgまでの過重に耐えられるフック(収納式)が備わるので、普段の近所へのお買い物でも、大活躍してくれることでしょう。
<SPECIFICATIONS>
☆T6 AWD インスクリプション
ボディサイズ:L4950×W1960×H1775mm
車重:2080kg
駆動方式:4WD
エンジン:1968cc 直列4気筒 DOHC
ターボ+スーパーチャージャー
トランスミッション:8AT
エンジン最高出力:320馬力/5700回転
エンジン最大トルク:40.8kg-m/2200〜5400回転
価格:909万円
(文&写真/ダン・アオキ)