まんまと、いっぱい食わされました。というより、完全に勘違いしておりました。
ニューヨーク国際オートショーが間近に迫った某日、ハードトップ仕様の開発に携わったマツダのとあるスタッフに、不躾にもその内容について尋ねてみたのです。 しかしその回答は…
「それはいえません。現地での発表を楽しみにしていてください(キッパリ)」
という、なんともつれない返事。ガッカリしていたところ、その開発者が妙な、それでいてどこかで見たことのあるアクションを、我々の眼の前で披露し始めたのです。
それは、いわゆるピッチングフォーム。ひじを上げた右手を後ろに引いてから、振りかぶって投げるという仕草でした。
その時にハッキリと見えたボールの握りは、フォークボール。ん!? これは、ハードトップルーフを後方から引き上げ、フロントウインドーへと導く動作そのもの! 人差し指と中指を大きく開いたフォークボールの握りは、ルーフの前端を2本の指で引っ掛けて前へと持ってくる、という意味!?
分かった、これはすごいっ! 新型ロードスターのハードトップは、ズバリ“手動”だ!! 軽量なパネルを使い、ソフトトップのように手で、いや、2本の指でスムーズに閉められる。そのメリットは、電動ユニットを省いたことによる軽さと低価格…。
いやぁ、素晴らしいアイデア! それをさり気なく教えてくれた心遣いもニクイ!! あぁ、もうSNSとかで暴露しちゃおうかなぁ。いや、それは少々ゲスい。信頼してリークしてくれたわけだから、正式発表まで待たなければ...。
フォークボールの握りだけで、そんな妄想を膨らませていたのです。