コーヒーの生産地に行ってわかった“サステナビリティ”の本当の意味

■道を作ることから始まったトラジャ事業

とにかくトラジャは遠い。日本からは、首都ジャカルタで飛行機を乗り換え、スラウェシ島最大の町であるマカッサルへ。そこからクルマで10時間かけて、ようやく中心地、ランテパオにたどりつく。そしてトアルコ・ジャヤ社はランテパオにある。

ペランギアンをはじめ、同社が定期的に出張買い取りを行う集買所は、ランテパオからさらに奥地だ。最近は道が整備されてきたというが、トアルコ・ジャヤ社設立当初は、まず道を作るところから始めたという。

いまや住民の大事なインフラとなっているその道をトラックで登り、コーヒー豆の買い取りを行っているのだ。

また、ランテパオ近くにはトアルコ・ジャヤ社のパダマラン農園(標高900~1250m)がある。ここでは、コーヒーの栽培だけでなく国際的な研究機関、ワールド・コーヒー・リサーチと共同で病気に強い品種の発掘や気候変動をモニタリングする「IMLVT(International Multi-Location Variety Trial=国際品種栽培試験)」も行っている。

農園長のイサックさんは「コーヒーの価格は上がってきているから、周りの農家の意欲も上がってきていますよ」と話す。

「ここで働き始めて29年になります。その前からコーヒーは飲んでいましたが、その頃はトブロック(粉に直接お湯をかけ、さらに練乳を入れて甘くしたもの)でした。市場で売っているコーヒーは練乳を入れないと飲めないんです。でもトアルコができて、ブラックで飲むようになりました」

パダマラン農園で働くのはほとんどがインドネシア人だ。常勤の日本人はキーコーヒーから派遣された1人だけ。現地の人が栽培から精製、研究を行い、その成果を周辺の農家へと還元していく。このサイクルが高品質なコーヒーを生み出している。
 

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