普段着がわかると持ち運んでいるカメラを限定できる。大型の一眼レフを持って歩くと、それ専用のバッグが必要になるので候補から外し、ボケや遠近感を見るとスマホだけで撮ったはずがない。
慌ただしい日々の中で、カメラを使い分けるのは難しい。ひとつのカメラにまとめたほうが整理が楽だ。ときにはメモの代わりに、ときには仕事で使うアイディアの素材として、さらにはそのまま仕事にも使える画質で撮りたいとする。となると一眼レフのように扱える小型なカメラを選ぶだろう。
上に書いたことは、そのまま自分がカメラを選ぶときの考え方になる。そういった用途のときどんなカメラを選べば良いのか? どんなメモ帳とどんな筆記用具のセットにすれば便利なのか、と考えるのと同じことだ。
PowerShot G7シリーズは、有名なクリエイターたちが私物を紹介しているとき、よく登場するカメラで、答え合わせができたように納得がいったことがあった。求める条件をすべて満たしているからだろう。
今回使ったのはPowerShot G7 Markllだ。24〜100mmまでのズームがあれば、普段持ち歩くカメラとしては十分だ。いろんな角度から撮っておく必要があるときチルト液晶があれば便利だ。
ディテールを細かく記録していくのにマクロが求められ、5cmまで寄れればそれも十分。とにかく被写体を選ばない。専用のバッグなど必要なくポケットに入れたまま移動できる。
さらにこれは予想で、でも大事なことなのだが、なくなったとしても近くで同じものが手に入る。とにかく時間がない人にとって、新しいカメラに慣れていくのが難しいとしたら、いつでも手に入るカメラがあるのは心強い。
1インチのセンサーを搭載して、レンズがF1.8の明るさがあると、日常の撮影で不自由することはまずない。旅行に行って印象的な景色を撮って、自分が作ったものをメモのように記録しておき、アイデアの元になりそうなものをスクラップする感覚で撮っておく。ときにはボケを大きく使った写真も撮ってみたい。
だが大きなカメラを持つことには制約があるとしたら、選べるカメラはそう多くはない。そこにこのカメラの価値がある。靴に例えれば定番となっているスニーカーのようなものだろうか。その履き心地が自分の一部になっていたとして、急に買えなくなって困ることがない。
いつも持ち歩いて日常を撮るのに向いたカメラだと思う。食べたもの、美しいと思った景色、訪れた街、人から贈ってもらったもの、仕事の記録。
それらをひとつにまとめて持ち続けていくのは難しい。でも写真に撮ってフォルダにまとめておけばいつでも振り返ることができる。思い出を振り返るためではなく、仕事で必要になったときも、きれいに分類してあればデータとしてすぐに選び出せる。
写真をメモの代わりに使う、そういったときに最適だ。
(文・写真/内田ユキオ)
1966年、新潟県両津市(現在の佐渡市)出身。公務員を経てフリーに。タレントなどの撮影のかたわら、スナップに定評がある。
執筆も手がけ、カメラ雑誌や新聞に寄稿。現在は写真教室の講師も務める。自称「最後の文系写真家」。データや性能だけではないカメラの魅力にこだわりを持つ。
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