■トンコナンに飾られているもの
集買所からトラジャ地方の中心都市ランテパオに向かい山を下りていく途中、多くの「トンコナン」を見かけました。
トンコナンとは、トラジャ地方の伝統的な建物です。
トラジャでは、葬儀を大々的に行うそうです。そこでは参列者から水牛が手向けられ、そして生贄として捧げられます。この大掛かりな葬儀のために、遺族は何年もかけてお金を貯めます。
参列者から供された水牛の頭骨は、誰からのものかしっかり記してトンコナンに並べられます。
そして、次に誰かが葬儀を行う際は、きちんと水牛でお返しするんだそうです。
このようにして死者を送り出すという伝統が今もトラジャには残っています。オランダ植民地時代に入ってきて以降、キリスト教も広まってはいますが、それとは別に先祖から連綿と受け継がれてきた伝統が、トンコナンや葬儀など人々の暮らしの中にしっかりと残っています。
ちなみにトンコナンですが、普段は話し合いや集会で使われているとか。腰を下ろして友人や近所の人とのんびりトンコナンで世間話。なんかいいですよね。
■色彩豊かなトラジャの台所
山を下りて向かったのはランテパオの町。トラジャの中心だけあり、人も多く、大きな市場もあります。
トラジャ地方各地からモノが集まり人が集まる。自分が収穫したものや作ったものを持ってきて売り、そして必要なものを買う。人々の生活を支える市場には、本当にさまざまなものが売られています。
それにしてもバイクが多い。クルマは高価なため、バイクを買う人が多いというインドネシア。だからこそ、首都のジャカルタだけでなく、全国各地でバイクが驚くほどたくさん走っています。
もちろんトラジャもそう。以前はホンダのカブだらけだったそうですが、今は150ccのスクータータイプがメイン。ホンダもヤマハもスズキもありますが、どれも東南アジア向けに作られているホイールが大きくタイヤが細いモデル。これに◯人乗りとかしちゃって、さらに未舗装路や峠道をガンガン走っちゃうんだから、なかなかにカオスです(笑)。
そんなバイク天国ならではの光景は道端にもありました。
これなんだと思いますか? 瓶やポリ容器に入った液体。実はこれ、ガソリンなんです!
日本のようにあちこちにガソリンスタンドがあるわけではない地方では、このように道端でガソリンが売られているんだとか。それをダイレクトに給油。いやはやすごい光景。でもよく見かけました。
■中学生の制服は青!
そしてトラジャ最終日には、トアルコ・ジャヤ社パダマラン農園近くにあるナンガラ第2中学校におじゃましました。パダマラン農園で働く人の子も多く通っている学校だとか。
地域の人たちとのつながりを大切にしているトアルコ・ジャヤ社では、地元の学校の支援も行っています。この日はPCの寄贈でした。
到着すると、トラジャ女性伝統の服を着た生徒がPAGELU(パゲル)という踊りで出迎えてくれました。
この中学校は生徒数147人。授業は朝7時15分に始まるらしく、遠くから通う生徒の中には、朝5時にランプを持って家を出ている子もいるそうです。高校の進学率は95%で、その後はスラウェシ島最大の町・マカッサルや遠くマレーシアに出稼ぎに出る人も。
ちなみにインドネシアでは、小学校、中学校、高校はすべて同じ制服とのこと。だから全国どこでも中学生は青なんだとか。