■頭を振っても外れる心配ナシ!
人の耳は普段、鼓膜を通して音を感じます。この音は、振動を通して聴こえるのと同時に、自分の話す声などは頭蓋骨の振動からも伝わっています。骨伝導はその頭蓋骨の振動を起こす事でサウンドを届ける技術です。補聴器などでも採用されています。それを利用しているのが、このBoCo「PEACE TW-1」になります。
デザインは完全ワイヤレスイヤホン風ですが、耳の穴は塞がず、カフスのように耳を挟むように取り付けます。最初は説明書を見ながらでないと装着方法は分かりにくいかもしれませんが、慣れれば難しくありません。後ろ側から挟み込み、耳の内側に引っ掛けるイメージです。
耳は塞がないので違和感ナシ…と言いたいところですが、片側10gが耳に引っ掛かっているわけで、異物感はあります。イヤーピースのような装着感を調整する付属品はありませんが、ジャンプしたり、首を激しく振ったりしても落ちることはありませんでした。ちなみに、IPX7の防水性能もあります。
装着さえクリアすれば後は完全ワイヤレスイヤホンと同じ。左右それぞれに2つずつ操作ボタンが付いていて、L内側のボタンを1秒押しでペアリングモードに。再生/停止、曲送り/戻し、音量+/-とひと通りの操作もできます。
完全ワイヤレスイヤホンの流儀にしたがって充電ケースも付属。イヤホン単体での連続再生時間は最大5時間で、実用にはなる性能。付属の充電ケース併用で最大12時間再生になります。
Windows PCとペアリングしてZoomのビデオ会議に使ってみました。マイクもきちんと声を拾っています。そして聴こえる音はイヤホンのような声ではなく、頭の中に直接届くイメージ。通話用の聞き取りやすさとしては問題ナシ。周囲が騒がしくても相手の音声はクリアに聴こえます。
しばらくテレワーク用に試してみたのですが、耳を塞がない骨伝導ならではの“周囲の音も聴こえる”というのが、自宅で仕事するスタイルにとってもイイ。自宅で仕事をしている場合、家族に呼ばれたり宅急便が届いたりした時に、周囲の音が聴こえないと不便なんですよね。そんな時も、外の音も聴き逃さずコミュニケーションが取れて安心です。
もちろん通勤・通学の屋外で使っても問題ナシですが、遮音性はゼロなので注意。ただ、音量を大きくし過ぎなければほぼ音漏れしません。
■やはり低音が弱いけど…
骨伝導式なのでイヤホンと別モノとはわかっていつつ、iPhoneとペアリングをして音質もチェックしてみます。
まずもって聴こえ方が、イヤホンとは根本的に違い頭の中にダイレクトに届くような不思議な感覚です。宇多田ヒカルの『あなた』は歌声など高域のみをカチっと立てていてシャキシャキ。音量を上げると低音も振動で再現するようになります。BrunoMarsの『24K Magic』も歌声はハッキリ聴こえるけど、低音はある程度音量を上げないとスカスカ。イヤホンと同列に音質を語るなら音が悪いと言うほかないのですが…そもそも普通のイヤホンのような音質を求めるモノではないでしょう。
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骨伝導完全ワイヤレスイヤホン「PEACE TW-1」ですが、やっぱり最大の価値は耳を塞がず、音楽も通話もできること。ランニング中の安全確保として人気というのも納得ですが、自宅で仕事とコミュニケーションを両立するデバイスとしても優秀です。ビデオ会議続きのテレワークで通話デバイスに悩んだ時に、選ぶ価値は十分アリですね。
>> BoCo
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長
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