■安定感があり土の中でも回らない
「エリッゼステーク」
ハンマーでたたく部分が広めでしっかり打ち込めます。土の中の石に当たると、苦労はしますが8割の確率で打ち砕くのか深く打ち込めます。
明るい色で地面に打ち込んでも目立つのもポイント。エリッゼとはイタリア語で楕円を意味していて、ペグ自体が楕円形になっているのでロープに力が加わっても土の中で回らないこともアドバンテージ。ちなみに地面に差し込む部分の直径は7×9mmです。
■ファニーな見た目だけど強度あり
「TANZO PEG28」
鍛造ペグは叩いてカタチを作るので、粒子が整って型に流し込んで形作る鋳造ペグよりも高強度だとされています。スチールにクロームモリブデンを添加した合金鋼を金型に入れ、叩いて鍛えてできたのが「TANZO PEG」。鉄の鍛造よりも高強度だと言われています。ハンマーで叩いた感覚は鉄鍛造の「エリッゼステーク」と似ていますが、叩く面が広いので打ち損ないしづらいのが特徴です。
■ヘッドが丸く打ちづらい
「異形ロープ止めJ型」
ホームセンターによくあるロープ留めで、ペグに使うキャンパーをちらほら見かけます。安価だし、独特のデコボコで一度地面に刺さるとしっかり保持します。けれど、ヘッドが丸くて細いのでハンマーで打つ位置がずれやすく、うまく力が入りません。またハンマーが当たる部分が地面に刺さる部分の直線上にないので、うまく力が伝わらない印象です。結局これが一番手こずりました。安価なので、一般的な地面であればタープアレンジ用の予備ペグとして用意しておくのは悪くない選択でしょう。直径約6mm。
■錆びにくく強固
「SUSタフステーク」
スチール製に比べて断然錆に強い特殊ステンレス製で、横方向も縦方向も高強度。鍛造ペグと打ち比べてみて明らかな差は感じられませんでしたが、ヘッドが小さめなので時折打ち損ないます。持った感じは微妙に軽く、本数をまとめれば鍛造ペグよりも持ち運びやすそう。また雨の後でもそれほど気にせずケースに収納できるのがいいですね。ロープを引っかけるところは小さいながらも返しが付いています。このあたりが日本企画らしい繊細さです。
■軽いのにぐいぐい食い込むぞ
「チタンペグ」
どこのものともわからない「チタンペグ」なので、正直侮っていましたが、スッキリしたデザインと細いシルエットのおかげか、ぐいぐい入っていきます。石にぶつかると手こずりますが、それまでの区間は2つの鍛造ペグよりもスッと入りました。もっとも割高ですが、鍛造ペグ1本分(約200g)と「チタンペグ」5本分がほぼ同じ。撮影では30本ほど必要なので5kgほどの差が生じます(「チタンペグ」1.2kg、鍛造ペグ約6kg)。この重量差は価格の差をも補います。直径7mm。
* * *
実は今回の撮影では、ソロテントの付属ペグだったヒルバーグ「YペグUL」(硬化アルミニウム製)がとっても軽く、曲がることなくぐいぐい地面に食い込んでいきました。ペグの断面がトータルで狭いためでしょうか、ほかのペグよりも素早く入っていったイメージです。ただし、明らかに25cmよりも短いので、その下にあるであろう大きな石への破壊力は不明です。
いろいろ試してみましたが、結局のところ素材の差はあまり感じられませんでした。素材云々よりもハンマーとの接地面積と形、ハンマーからの力の伝わり方、そして地面と接する形などデザインによるところが大きいようです。
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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