■「ハトメ抜き」と「カシメ打ち」でベルトを固定
この辺りから色々な専用工具が登場し、楽しさも倍増してきます。次に登場するのは「ハトメ抜き」と「カシメ打ち」です。今回作るナイフシースですが、初心者の私では鞘本体だけでしっかりとナイフを保持するような、精密な工作はできません。
そこでハンドル部分を固定するベルトを付けることにしました。ベルトといっても薄手の革を細長く切っただけのものです。このベルトを本体に「カシメ」で固定します。
まず本体とベルトに穴を開けます。「ハトメ抜き」を所定の場所に据え、上からハンマーで叩くと綺麗に穴を開けることができました。その穴にオスとメスのハトメを上下から通し、台座の敷いて「カシメ打ち」で打てば、ガッチリと接合することができました。
■縫い付け工程が皮革DIYのメインイベント!
いよいよレザークラフト のメインイベントである、縫い付け工程が近づいてきました。裏側にきて目立たないベルトループ部分で練習したいと思います。
まずは接着剤で仮固定します。
乾いたところで、「菱目打ち」というフォークのような道具を使い、糸を通す穴を開けます。
革小物の縫い目は作品の見た目に大きく影響するので、整然と美しく開けねばなりません。
さあついに針と糸の登場です。一番重要な道具と材料なので色々と種類もうんちくもあるようですが、初心者の私はセットに入っていたものをそのまま使いました。縫い方も、昔、家庭科で習った布の縫い方と少し違い、二本の針を使って交互に挟む混むように縫っていきます。
手作りの革製品は頑丈なイメージがありますが、これは確かにしっかりしています。
ベルトループの次は本体の縫い付けです。ループ部と同じように接着剤で仮固定ですが、折り返し部分の反発があるので洗濯バサミを使ってしっかり固定し乾燥させました。
本体裏側だったベルトループと違い、本体の縫い目は非常に目立ちます。「菱目打ち」を持つ手にも力が入ります! このラインがしっかり並んでいると、見た目も精悍な印象になります。
すべての穴が開け終わったら縫い付け。上下と中子の3枚の革が重ねられているので、針を通すのにも力がいります。糸のたるみは見た目が悪いだけでなく、強度も落ちるので、ひと針ごとにしっかりと糸を引っ張り締め付けました。
正直、こういった単調で細かい作業はあまり好きではなかったのですが、この革細工に限っては、ひと針ごとに強度を増していく感覚が心地よく、とても楽しいものでした。
最後に「打ち棒」でベルトにホックを付け、全体が完成!
うん、なかなかカッコ良くできたと思います。
仕上げに革の断面部分を紙やすりで磨き、トコノールを塗布。表面全体をオイルやワックスで仕上げることもできますが、じっくり経年変化を楽しむために今回はそのままで楽しむことにしました。
完成形はこんな感じ。初めてにしては納得の出来です。
ナイフの抜き差しは滑らかで、奥まで入れると思いのほかしっかりと保持されました。ベルトループの形状もぴったりで、なかなか満足度の高い仕上がりとなりました。
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何か1つの作品を作れば、なんとなく全体の流れがわかるのは、レザークラフトも他のDIYも同じ。私は次はキャンプ用の革製トートを作ろうかと思案中。
そしていつの日か複雑な財布にも挑戦してみたいと思います。今回のナイフシースの作り方は、そのまま他のナイフにも使えますので、ぜひ皆さんも手持ちのキャンプ用ナイフや包丁のオリジナルシースを作ってみてください!
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写真・文/阪口 克
阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。