■小物が迷子にならないポケット付き
細かい部分でも、ライバルの先輩ブランドにはない魅力がたっぷり。横揺れを適度に押さえつつ空間を広げるアイデアが秀逸です。
頭のあたりにポケットがあり、そこからガイラインを伸ばして地面に固定するのがカモック流。ハンモックの側面にポケットを装備しているものを多くみかけますが、寝袋や枕がわりのウエアでポケットそのものが隠れてしまうことも。
「マンティス ウルトラライト」のポケットは出っ張っているので見つけやすく、寝ながら簡単にアクセスできるのが便利です。ガイラインで軽く引っ張っているので空間がやや広がり、寝転んだ直後の大きな横揺れがすぐに静まるのもいい感じ。
時折雨が降る中、一晩過ごしてみました。
タープはもちろん、ハンモックも耐水加工を施しています。とはいえストラップを伝って雨がしみこむんだろうと覚悟していましたが、ストラップは長く、カラビナとの接続部分で分岐するため、大部分の雨は下に伸びるストラップを伝って落ちます。カラビナとカラビナの間はタープでカバーできており、寝袋が濡れることはありませんでした。ただし、ハンモック+タープという構造上、土砂降りではなくても風と雨がコンボの日は不安です。
蚊帳部分にはロープが伸びていて、軽いLEDライトやタオルなんかを吊しておけます。貴重品を入れたサコッシュを吊してもよさそう。
ハンモックはとても薄く、通気性良好。蒸し暑さはありません。
秋〜春はマットを併用し、冬はさらに蚊帳部分を覆う「マンティス ウィンターバリア」(1万3800円/税別)を取り付ければあたたかく過ごせそうです。
手持ちのポールを使ってタープを張り上げてみました。ポールとの間をガイラインで落とすことができるので、雨を排出しやすくアレンジできます。
跳ね上がっているほうが広くてハンモックに入りやすいのですが、やはり風が通り抜けるので、夜はポールを外した方がいいかも。
ポールを差し込む部分は金属のはと目ではありません。ここら辺も軽量化に役立っているのでしょうか。
* * *
創業者は、カモックを立ち上げる前、初めてハンモック泊をしていた時に、生地が破れて地面に落ちた経験があるそうです。この経験から、軽くてタフなハンモック作りを目指したというわけだから、なんとも瓢箪から駒。カモックは設営しやすく、耐荷重も十分。新しいブランドならではのアイデアが詰まっていました。
最後になりますが、日本のハンモック泊ブームの今、いろいろなハンモックが発売されていますが、なかには宿泊向きではない耐久性に欠けるハンモックもあるようです。デイキャンプならまだしも1泊、2泊のキャンプでちゃんと眠れないのは困りもの。しっかりとしたビジョンを持ち、誠実なモノ作りをしている製品を選ぶことがトータルでオトクですよ。
>> カモック
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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