2016年1月に、公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構(略称:米穀機構)が海外メディア対象に記者会見を開催しました。米穀機構が厳選した日本各地の駅弁100種が展示紹介され、試食も行われました。
日本初の駅弁は、1885年に東北本線宇都宮駅で発売されたおにぎり弁当ですが、 携帯食としてのおにぎりは1300年より前から存在し、弁当という存在は鎌倉時代末期から室町時代に中国から伝わったといわれています。
薄い木の皮で仕切りを作った器にご飯とおかずを詰め、酒を携えて花見や紅葉狩りを楽しんだそうですから、今も昔も、日本人は同じことをしていますね(笑)
駅弁の基本は、ごはんとおかずのワンセット。おかずには、魚や肉、野菜、海藻などの多彩な食材が使われ、油脂分は少なく、ヘルシーな内容になっています。衛生面から、あえて冷ましてから詰め、冷めてもおいしく食べられる味付けや調理方法で作られるのが特徴ですが、食べる直前に蒸気で温める駅弁も登場しています。
記者会見に登壇した大手駅弁メーカー、NRE大増の商品開発部部長 白木克彦さんが、日本の駅弁の基本3分類を説明してくれました。
- 色々な食材が入った幕の内弁当
- 特産海産物を使った海鮮弁当
- 地域銘柄の鶏、豚、牛などの肉を中心とした弁当
3分類とはいえ、コンセプトも内容も多様で、健康志向の多品目弁当、キャラクターをアピールした弁当、季節限定弁当などなど、本当に色々あります。
駅弁は中が見えない器に詰められているのがほとんどですから、開ける時のワクワク感も醍醐味ですね。
こうした器やオリジナルパッケージ、また、弁当の掛け紙を集めるコレクターも多いと聞きました。その気持ち、よ~くわかります(笑)。
他の国を見ると、台湾では主要駅で駅弁が販売されているそうで、温かいごはんの上に温かい鶏肉などを載せたものが主流だそうです。NRE大増では、台湾(2015年)とシンガポール(2014年)で日本の駅弁販売を行なったことがあり、台湾では販売開始約30分で完売、シンガポールでは開催4日間で1000個を完売しました。すごい人気ですね。
また、2016年3月からパリのガール・ド・リヨン駅で日本の駅弁の販売が開始されたというニュースを耳にしましたが、こちらも好評のようです。
ごはんとおかずが見た目も栄養バランスもほどよくひとつの容器にまとまり、携帯性にも優れた日本の駅弁は、実に日本らしい食ともいえるのではないでしょうか? これからは、世界の和食ブームの中に、駅弁が入ってくることは間違いなさそうです。
そういえば、3月26日に北海道新幹線が開通しましたが、これを機に、新たな駅弁ファンが日本でもどんどん出てくるかも? 1000円前後で楽しめるという手頃さも魅力ですよね。
駅弁を携えての旅。日本人に生まれて良かった~! と思えるひとときではないでしょうか?(笑)。
(取材・文/綿引まゆみ)
ワイン専門誌や料理系雑誌での記事執筆をはじめ、日本ソムリエ協会webサイトのコラムなどを執筆。ワインセミナー、トークショー、海外のワインコンクール審査員など、幅広い活動を行なっている。チーズプロフェッショナル、ビアソムリエ、コーヒー&ティーアドバイザーの資格も所有。スイーツ好き。
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