■ノコギリは刃が命
ノコギリには木の繊維と平行に刃を当てる“縦挽き”、繊維に対して直角に刃を当てる“横挽き”の刃があります。キャンプの場合は薪を短くするのが主目的なので、横挽きを選択。そして、小さくても刃はそこそこ厚みがあり硬めの木でもスムーズに切れるノコギリがベストではないでしょうか。
ちなみに多くのキャンパーが持っている2大折込ノコギリのひとつ「ポケットボーイ130」は刃渡り130mmで重量180g、全長290mm。もうひとつの「騎士180」は刃渡り180mmで重量260g、全長400mm。これらふたつより小さいモノという視点で考えて、全長260mm以下でこれは!と思う2モデルをご紹介。
3. 2種類の刃をシーンによって使い分け
コニファーコーン「バタフライソー」(4950円)
横挽きの刃をよく見ると、ギザギザの山が並んでいるだけではなく山の両側と先端が削られていて、小型なのに木の繊維をバリバリ切断していきます。この先端部分は上目と言うんですが、上目がないものが茨目。茨目は斜めに切るのに適した刃で、木くずをかき出しやすくスピーディーに切れるという特徴があります。
この「バタフライソー」は、横挽きの横挽き目と茨目を装備していて、堅い木は横挽き目、斜め方向に切りたいときや柔らかめの木を素早く切断したいときは茨目という具合に使い分けられるんです。全長わずか250mmに2つの刃が装備しているのがすごい!
「バタフライソー」のすごいところは折りたたみ機構にあります。刃に2本のハンドルがついていて、使用時は2本まとめて持ってしっかりグリップ。ハンドルを外側に開いていくと刃を保護するケースになるんです。実に無駄がない構造。
ちなみにグリップ部はブラックチェリー。使いこむほどツヤが出るので、エイジングも楽しみです。
市販の薪を切ってみました。針葉樹の薪はどちらの刃もスムーズに切れました。薄く見えますが刃がたわむことがないのも好印象。硬い広葉樹の薪はやはり上目がついた横挽き目のほうがスムーズに切断できます。
刃は高硬度炭素鋼に特殊フッ素コートを施しているからでしょうか、どちらの刃でも木くずがたまりにくく、軽い力で切れました。もちろん替刃もありますよ。
>> コニファーコーン
4. 安定感のある厚めの刃
ユニフレーム「燕三条乃鋸」(4900円)
日本有数の刃物の街、燕三条の名が付いたフォールディングノコギリです。ハンドルはステンレス、刃はSK-5。全体がシルバーで統一されており、プライヤー付きのマルチツール、レンチなんかと並べたくなる工具っぽいデザインに仕上がっています。もちろんハンドルの握りやすさにこだわっていて、角ばって見えますが肌にやさしく、引いたときに力をいれやすい形になっているんです。
コンパクトなノコギリは刃がたわみやすいものが多いんですが、「燕三条乃鋸」の刃は指で押してもビヨンビヨンしません。
折りたたんだ姿も美しいですね。ハンドルの端にあるのはカラビナで、ベルトループやバックパックのハーネスなどに引っ掛けて持ち運べます。
ちなみに、ナタやナイフ同様、ノコギリも正当な理由なしに持ち歩けません。キャンプ帰りにうっかりバッグに引っ掛けたまま遊びにいかないよう気をつけましょう。
上目がついた横挽き目なので薪を短く切断するのはお手の物。刃長90mmなので太い薪は半分くらいまで切り進み、刃を引き抜き、別の角度からアプローチするわけですが、しっかりめの刃がついているのでスムーズに引き抜けます。物理的に10cm以上の薪は最後まで切れないのが残念といえば残念。ですが、ある程度まで切り込みを入れたらあとはブーツで踏みつけて折ればよし。焚き火用なのですから、じつはこんな使い方で十分ではないでしょうか。
>> ユニフレーム
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フルタングナイフがあればちょっとした薪なら細く割れるし、木工作業だってできます。ちょっと面倒ですが切り込みを入れて長い薪を短く折ることもできます。
けれどもナタや斧、ノコギリには、たとえコンパクトサイズでも特化した道具ならではの使いやすさがありました。なによりもかっこよくて持っていると気分が上がりますよ。
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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