■アウトドアのウエアはレイヤリングが重要
登山やバックカントリーの世界ではレイヤリングが本当に大事で、知っている方もいると思いますが、改めてレイヤリングという概念を説明します。
山は天候が変わりやすく、登ったり、降ったりすると標高が変わります。標高が変わると当然気温も変わります。標高が100m変わると気温が0.6℃変わるといわれています。つまり、1000m標高が変わると、6℃も変わるのです。
また、運動をすると体温も変わりますよね? 運動量が増せば急激に暑くなり、逆に止まれば本当に寒くなります。
このように標高、運動量、そして天候による温度変化に対応するために、服を効果的に重ね着し、体温調整を目的にすることをレイヤリングと言います。冬は汗をかくと、その汗が冷えた時に一気に体温を持っていかれるので、暑い時は脱ぐ、寒い時は着ることで、体温調整を行います。つまり、しっかりレイヤリングして備えることで、快適に過ごすことができるというわけなんです。
私はキャンプでもこの体温調整がすごく大事だと思っているので、キャンプ用のレイヤリングを勝手に研究しているのです。笑
キャンプは基本的に、上下移動することがあまりないので、始める時と撤収する時で標高差はありませんが、薪を切ったり、テントを設営したり、体を動かすことはあります。自然の中なので、天候の変化もあります。また冬キャンプで重要なのは、焚き火の大きさと距離。これによって、感じる温度は本当に大きく変わります。
■レイヤリングの基本構成
ここからは、屁理屈はわかったから、一体どういうことですか? ということを解説していきます! まず以下のような3層(レイヤー)が、基本のレイヤリングです。
寒い時は、ベースレイヤーを2枚着たり、ミドルレイヤーを増やしたりすることで体温調整を行います。
■ベースレイヤー
肌に直接触れる部分のウエアです。したがって、薄手で肌触りがよく、速乾性、保温性に優れているものが快適。機能性素材やウール素材のものがおすすめです。
■ミドルレイヤー
ベースレイヤーとアウターレイヤーの間に着る中間着です。フリースや薄手のダウン(薄手)など、動きやすく保温性が高いものがおすすめ。防風性もあるとより良いです。
■アウターレイヤー
その名の通り、一番外に着るものです。防風性が高く、ミドルレイヤーまでで確保された体温を閉じ込められるものがおすすめ。
ただし、キャンプの場合焚き火の火の粉が飛ぶ危険があるので、レインウエアやダウンジャケットなど、穴が空いてしまうと、そのアウターの機能が著しく損なわれるようなウエアはおすすめしません。
難燃加工をしてある生地やコットンがいいと思います。が私は持っておらず、フリース素材のウエアを着ていますが、焚き火の前ではほとんど脱いでいる時が多いです。私のように、難燃性の生地のアウターレイヤーを持っていない方は、焚き火をしても寒い場合は、ウールやコットン素材のブランケット的なものを羽織るといいと思います。
■冬キャンプに欠かせない愛用ウエア5選
レイヤリングについてわかっていただけましたでしょうか。ここからは私が愛用しているおすすめのアイテムを紹介していきます。
1.足元からの冷えを防ぐ「メリノウールソックス」
ベースレイヤーの中でも私が最も大事だと思うのはソックスです。足元が冷えると、体全体の冷えにもつながります。
中でもお気に入りはメリノウールのソックスです。メリノウールとは、その名の通り、メリノ種という羊の毛。夏場は涼しく感じて、冬場は暖かい、ベースレイヤーの王様なんです。
除湿性に優れているので、長時間靴を履いているアウトドアで重宝するわけです。そして、なんといっても靴下に大事な機能、防臭性が素晴らしい! 本当に、ニオイにくい素材なのです。
一度、雨の日のキャンプで1日中履いて、雨で湿ったものを軽く乾かしたあと、勇気を出してニオイを嗅いでみましたが、本当に臭いませんでした!
愛用しているソックスは、Sockwell(ソックウェル)の「SW27M TWILLFUL」。暖かくて臭わない、そして着圧機能があるので疲れにくいアイテムです。
2.通気性が良く、暖かく、臭わない「タイツ」
タイツの条件は履いていて気持ちいこと、暖かいこと、そしてこれも臭わないこと、だと思います。
タイツもメリノウールも持っているのですが、私が使っているのは、パタゴニアの「キャプリーン・サーマルウェイト」というタイプのもので、ハイキュ・フレッシュ耐久性抗菌防臭加工のポーラテックという素材を使っているもので、本当に通気性が良く、暖かく、臭わない。そして、何よりも長時間履いていても気持ちいいところが気に入ってます。
アウトドアだけでなく、仕事着の下にも、本当に1週間のうち何日も履いてますが、履き心地が最高ですし、登山で数日連続で履いていても、臭いません。
3.汗がすぐ乾き、保温性が高い「メリノウールニット」
パタゴニアの「キャプリーン・エア・クルー」を愛用していますが、通気性抜群なので、高負荷の運動をした後でも、汗がすぐ乾き、保温性も高く、そして、軽い感じで着られるところが気に入ってます。素材はメリノウールとポリエステルの混合なのですが、メリノウールの良さもしっかりと残っています。
立山連峰でバックカントリースキーをした際、山小屋に2泊し、2泊3日の間ずっと着ていましたがまったく臭いませんでした。そして、マイナス15℃の山でもちゃんと体を保温してくれた頼れるベースレイヤーです。
アウトドアウエアは保温性が大事なのですが、それプラス、除湿性や通気性、着心地、そして長時間着られる防臭効果も本当に大事な要素といえます。
4.軽量で脱ぎ着しやすい「ダウンベスト」
私は寒がりなので、どうせダウンを買うならば、長袖がいいと思いずっと使っていました。ところがある時、ベストを試しに買って使ってみたのです。その結果、こんなに便利なものをなぜ今まで買わなかったのか? と後悔したほど、ベストが便利なことに気づきました。
ダウンベストは軽量コンパクトなので携帯性に優れ、さっと脱ぎ着できるのがいい点。保温性は抜群で、人間は体幹が暖かければ相当体温を維持できるのだと、実感しました。長袖のダウンの使用頻度がこれで一気に下がりました。
5.冬キャンプの隠れた必需品「ブーツ」
レイヤリングの話からはそれますが、足元が暖かいことは本当に重要です。
特に冬キャンプでは、大地からの冷気の影響を最も受けるのが足元です。私はダナーの「ダナーライト」を愛用してますが、登山用のソールは本当に暖かいのです。このブーツとメリノウールのソックスで、マイナス10℃くらいまでのキャンプをしますが、足が寒いと思ったことは一度もありません。
もちろん登山靴としても優秀です。防水なので雨の日に安心ですし、川を渡ったり、不整地を歩いたりすることが多いキャンプでは最高のパフォーマンスを発揮してくれます。ちなみに、一度、友人がスニーカーで冬キャンプしてましたが、1泊目で根を上げてブーツを買って履いたら、2泊目は無事寒さをしのげたというくらい違います。
※ ※ ※
今回の5選には、アウターが入っていません。理由は2つあります。1つめは、ベースレイヤーからミドルレイヤーまでで作った自分の体温を保護できる役割のアウターであれば十分に暖かい(裏を返せば、なんでもいい)ため。
もう1つは、気候、天候、運動量によって脱ぐことも多いですし、キャンプの時も着ていると、動きが制限されてくつろげないことも多いからです。
一般的には、アウターを暖かいものにすればいいと思われがちですが、私はベースレイヤーからミドルレイヤーの方が、圧倒的に重要だと考えています。それゆえ、今回の5選の中に3つもベースレイヤーが入っているのです。
レイヤリングを制すれば、冬キャンプを制すること間違いなし! 皆さんも自分に合った、レイヤーを探してみてください!
>> 連載 [不自由を自由にする野営スタイル]
(文・写真/RYU)
RYU/「不自由は自由だ!」をモットーに、不便さの中でいかに快適に過ごせるかを考え、キャンプをしております。 経験、スタイルを問わず、少しでも参考になる情報を発信して行きたいと思います。Instsgramアカウント:@ryu chikazawa、YouTubeアカウント:Ryu outdoor ch #不自由は自由だ #アウトドアをこじ開けよう「初代 @sotoshiru アンバサダー」「@tobuy_official インフルエンサー」
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