3. 水濡れも寝癖も対策万全
ニーモ「ディスコ15」(4万150円)
重量:1.2kg
収納サイズ:φ23×30cm
リミット温度:-10℃
中綿:650FP撥水加工済みダウン
軽さやコンパクト収納を考慮したマミー型寝袋は、冷たい空気が入りにくいけれどなんだか窮屈な印象があります。それって、普段は横向きで眠っているのに寝袋内では膝や肘を曲げるスペースがなく、いつもと違う姿勢を強いられているためでは?
そう考えたニーモが生み出したのが、肘と膝あたりにゆとりをもたせた“スプーンシェイプ”。現在はスタンダードなクラシックスプーン、より軽さ・コンパクトさを求めたウルトラライトスプーン、ゆったりシルエットのリラックスドスプーンという3つのパターンがあり、寝袋の使用目的・シーンにあわせたパターンが選ばれています。
「ディスコ15」は軽さとゆとりのバランスがいいクラシックスプーン。15は華氏を意味していて摂氏に換算すると約-10℃。雪中から晩秋、春先のキャンプに対応します。
中綿は650FPダウンで、バックパックに押し込むときはギュッと小さくまとめられます。ダウンの大敵である湿気、濡れですが、生地にDWR(耐久撥水)加工、ダウンそのものにも撥水加工を施しているので防水バッグに入れずに持ち歩けるのがうれしいですね。
クルマ移動のキャンプならそれほどコンプレッションベルトを縮めなくてもよく、それでもφ23×30cm。片手で軽々持てる大きさです。
スプーンシルエットのおかげで、真上にむいたときは肘を胸で組むほか、左右に開いてリラックス。また、横向きに寝ると自然に膝と肘を曲げて体を安定させますが、体が寝袋にひっかかりにくく、自然に姿勢を変えられます。
胸元にある短いファスナーは、温度の微調整を行うもの。暑く感じてメインファスナーを開けると一時的に急激に冷えますが、この短いファスナー(アジャスタブルサーモギル)を使えばゆるやかに熱気を放出するというもの。
寒いときは首元のブランケットフォールド(写真のオレンジの部分)を内側に入れて冷たい空気を遮断。ドローコードで絞るわけではないので窮屈な感じがありません。
寝袋は縫い目が横方向に伸びているものが多いんですが、「ディスコ15」は縦方向。縦方向に隔壁があり、冷えやすい足元に熱を送りやすくしています。寝返りをうってもダウンが偏りにくいという特徴も見逃せません。
またフードにポケットがあり、着替えや手持ちの枕を詰めてもよし。ちなみにニーモには枕もありますよ。
雪中キャンプでも濡れや湿気対策の手間をかけずにすむし、ゆったり過ごせるので横向きに眠る人はスプーンシェイプを試す価値ありますよ。
>> ニーモ・イクイップメント
4. 世界初の蜘蛛の巣構造で1kg以下
モンベル「シームレス ダウンハガー900#1」(7万1500円)
重量:782g
収納サイズ:φ16×32cm
コンフォート温度(EN):-2℃(リミット温度:-8℃)
中綿:900FP・EXダウン
ダウンはほんの少しの空気の動きでもふんわり浮かび、移動します。寝袋の背中みたいに圧力をかけると、とたんにふわっと逃げる。これが寒さのひとつの原因です。
そこで、長年多くのメーカーが採用してきたのがバッフル構造。ダウンを封じ込める部屋をいくつも作って、移動を抑えるんですね。
ただし、技術向上とともにダウンを閉じ込める素材が薄く軽くはなっていますが、この壁の分だけ重くなるし、縫い目があるとそこから冷たい空気が入りやすくなります。ワンルームでもダウンが片寄らない寝袋がほしい、そう考えたモンベルの答えが“スパイダーバッフルシステム”を搭載した「シームレス ダウンハガー」シリーズです。
寝袋の内側に特殊な糸を張りめぐらすことで、蜘蛛の巣のようにダウンが絡みつくという仕組みで、壁がないので軽く、表生地には縫い目もありません。もちろんこの構造は世界初!
収納サイズは、今回試した「シームレス ダウンハガー900#1」でφ16×32cm・5.7L、782g。同程度の対応温度域の定番モデル「ダウンハガー800#1」はφ17×34cm・6.8L、918gですから、重量も大きさも約15%抑えたことになります。クルマ移動ではさほど気にならない差かもしれませんが、荷物がかさばる冬山では大きなアドバンテージです。
伝統のマミー型。#1は首周りにチューブ状のふかふか襟巻きが備わっていて、冷気が侵入しづらくなっています。
表生地は、シームレスの名の通り、ほとんど縫い目がありません。
一見窮屈そうですが、マミー型特有の圧迫感はなく、体にフィットしつつも膝や肘の動きを妨げません。これはモンベル独自の“スーパースパイラルストレッチシステム”のおかげ。
生地は斜め方向に引っ張ると伸びやすいという性質があり、さらに糸ゴムと組み合わせたのが“スーパースパイラルストレッチシステム”。体の動きに合わせて35%も伸びるという構造です。
「シームレス ダウンハガー」では表生地には縫い目がほとんどありませんが、裏生地に糸ゴムを採用することでスムーズに寝返りをうてるようになっています。
開閉時に噛み込みしづらいファスナーで、寝袋に潜り込むときのストレスを軽減。寝袋の中で動いても勝手に開くことのないという特徴も備えています。
この日は氷点下にならず縫い目がないことが保温力に影響があるかどうかわかりませんでしたが、寝袋を持って左右に振っても、ゴロゴロ寝返りをうってもダウンの片寄りは見られませんでした。それよりも壁がないことで、なんだか従来のバッフル構造の寝袋よりもふんわり。
最先端の技術が詰まった寝袋です。
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