■この価格でスペックは最新!
実勢価格4980円という、完全ワイヤレスイヤホンとしてはお手頃なSOUNDPEATS「Sonic」。基本スペックを見てみると、2020年後半から本格的に採用が始まったクアルコム社の最新SoC“QCC3040”、Bluetooth規格は最新のVer.5.2、そして最新コーデック“aptX Adaptive”、左右同時接続の新技術“Qualcomm TrueWireless Mirroring”にまで対応。スペックはもう1万円クラスのイヤホン相当です。
シルバー/アンバー色で上質なデザイン。実は素材はプラ系なのですが、外見は悪くないでしょう。片耳あたりの重量イヤーピース込みで5.7gと小型で、装着していても目立ちません。
イヤーピースはS/M/Lと3サイズが付属。僕の耳ではMサイズでフィットして、耳穴奥まで挿入して密閉するため遮音性も優秀。IPX5の防水対応なのでシャワー程度の水濡れもカバーします。
イヤホン本体の操作は左右のボタン式で、強めに押し込むタイプ。再生・停止操作、音量操作とひと通りの操作が可能です。
そして特筆すべきポイントが、4980円とは思えないバッテリー性能。イヤホン本体で最大15時間、充電ケース併用で35時間のリスニングが可能です。充電ケースも小型だし充電端子はUSB type-Cとまさにパーフェクト。
もちろん通話マイク搭載で、PCとペアリングして通話用にも活用できます。ということで、ビデオ会議ソフトで通話してみると…。マイクで拾った声が籠もっている上に途切れ気味。しかも周囲の騒音も結構拾います。スペック上は“CVCノイズキャンセリング”対応なのですが、残念ながら通話マイクの音質は過去テストした中でも残念な部類。スマホで検証しても同様でした。これはテレワーク用どころかスマホ通話にも不向きかも…。
■低音強めのしっかりサウンド
気を取り直して音質をチェックしてみます。
iPhoneとペアリングして宇多田ヒカルの『あなた』を聴くと、歌声をクッキリと際立たせるキレのいいサウンド。高域が強めのバランスだけどうるさいほどでなく、むしろ楽器やオーケストラの音も自然に広がります。特筆すべきは量感たっぷりの低音で、空気を振動させ空間を満たす気持ちいい鳴りっぷり。BrunoMarsの『24K Magic』も重低音のみなぎるエネルギー、リズムの刻みも音圧感たっぷりとクラブ系は相性抜群。男性ボーカルの歌声も音楽に潰れることなくセパレートするところが、なかなか上手い音質チューニングです。
ひと言でまとめると“4980円とは思えない強烈な重低サウンド”なんですが、女性/男性ともに歌声をまったく犠牲にしていないので、低音強めのバランスが好みなら案外どんな楽曲でも聴けます。小音量リスニングでもしっかり低音のサポート効くところも優秀です。
Android端末は残念ながら“aptX Adaptive”対応機種を用意できなかったのですが、GalaxyのaptX接続に切り替えると、高域はやや強い程度に収まり中高域から低音まで音の解像感をアップ。一方、低域はよりディープな鳴りに。音の方向性はiPhoneのAAC接続と一緒ですが、aptX接続の方がより素直なサウンドです。
そして最後に隠れた注目機能、“ゲームモード”をチェック!
スマホゲームで遊んでいる人は多いと思いますが、ワイヤレスイヤホンで音の遅延を感じていたのはないでしょうか。SOUNDPEATS「Sonic」にはそんな問題を解消する“ゲームモード”があるんです。切り替え操作は左イヤホンのボタン3度押しです。
アクションRPGの『原神』で比較してみると、通常モードの状態では主人公が剣を振った時の風切り音の遅れがハッキリ分かったのに対して、“ゲームモード”に入ると遅延しているのかどうか分からないレベルに。“ゲームモード”でもおそらく遅延ゼロではないと思いますが、アクションゲームをプレイしていても違和感ナシ。これってゲーマーにとって結構重要…。というか他人事ではなく個人的に嬉しすぎます。もうこのSOUNDPEATS「Sonic」を“ゲーミング完全ワイヤレスイヤホン”として推したいくらい。
* * *
実勢価格で4980円と格安完全ワイヤレスイヤホンと呼ぶべきSOUNDPEATS「Sonic」ですが、中身の充実ぶりはスゴイですね。最新SoCの“QCC3040”搭載で“TrueWireless Mirroring”も“aptX Adaptive”も対応。通話音質が残念という弱点はありますが、リスニングの音質は格安ながら合格点。そして極めつけはゲーマーに嬉しい“ゲームモード”対応。ここまで揃ってこの価格はハイコスパ。全く同じ中身で倍の価格でもコスパ良しと呼んでいいくらいです。通話マイクだけは本当に残念ですが、ゲームする人なら気にせず“買い”です!
>> SOUNDPEATS
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長
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