【500C試乗】フィアットの“顔”が進化。ドライブが最高に楽しい!

キーをひねって走り始めれば、ツインエアこと直列2気筒エンジンが、独特のビートを発しながら、1050kgの500Cを引っ張ります。

ボディのデザインのみならず、2気筒エンジンまで現代に甦らせたのが、フィアットのすごいところ。875ccと小排気量ながら、小径ターボのバックアップを得て、最高出力85馬力、最大トルク14.8kg-mと、1.4リッターエンジン級のスペックを発生します。ふたつのピストンは、そろって上下に動くタイプで、バランサーシャフトを備えることで振動を低減しています。

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もちろん、フィアットは過去を懐かしんで2気筒を復活させたわけではなく、ツインエアを次世代を担う先進のパワーソースと位置づけています。

シリンダーあたりの排気量は437.5ccと大きめで(国産の軽自動車は約220ccです!)、しかも、ロングストロークタイプ(ボア×ストローク=80.5×86.0mm)。ここにターボ過給をプラスすることで、トルク重視のエンジンに仕立てています。実際、14.8kg-mという最大トルクは、わずか1900回転で発生します。

とはいえ低回転域では、例えば、3気筒エンジンならある時間内に3回爆発するところ、ツインエアは2回しか爆発しないので、やや振動が大きく感じられるわけです。日独の自動車メーカーなら「これではちょっと……」と躊躇するところ、イタリアの大衆車メーカーであるフィアットは、臆することなく市場に放ち、それなりの成功を収めているところが、クルマというものの面白さ。交通の流れに乗って、それなりにエンジンを回してやれば、無粋な振動は陰を潜め、楽しいビートに早変わりします。

組み合わされるトランスミッションは、“デュアロジック”と呼ばれる5速AT。ATとはいっても、クラッチ操作を自動で行うシングルクラッチタイプの2ペダル式MTです。

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これもずいぶんと洗練されました! AUTOモードでも、乗員の頭が前後するような、ギヤチェンジに伴う“空走時間”がグッと減り、シフトアップがスムーズに。街中でも乗りやすくなっています。

一方、その気になれば、すぐに手を伸ばしてギヤを変えられるよう、シフトレバーがマニュアルゲートに常駐しているのもいいですね。以前に比べれば、手を伸ばす頻度は大幅に減りましたが。

内外がちょっぴり変わったマイナーチェンジ版500。単なるお化粧直しかと思いきや、実は、ドライブフィールも改善されていたんですね。

ちなみに、フィアット500Cは、小さいながらも4座オープン。リアシートは、座面前後長を切り詰めて膝前のスペースを稼いでいて、また、ラゲッジスペースをスポイルしないよう、背もたれは立ち気味になっています。でも、特に頭上を気にしないでいいオープン時には、大人用のシートとしても十分に使えます。ガチなロングドライブには厳しいけれど、パーティ帰りに、友人たちを駅まで送っていくような用途にはピッタリ。夜風にあたって、酔いもいい具合に覚めましょう。

もちろん、いうまでもありませんが、ドライバーは飲酒厳禁ですよ!

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<SPECIFICATIONS>
☆500C ツインエア
ボディサイズ:L3570×W1625×H1505mm
車重:1050kg
駆動方式:FF
エンジン:875cc 直列2気筒 SOHC ターボ
トランスミッション:5AT
最高出力:85馬力/5500回転
最大トルク:14.8kg-m/1900回転
価格:279万7200円

(文&写真/ダン・アオキ)

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