ファーストインプレッションは“意外と大きい”
初めて実車を目にして思ったのが、思ったよりも大きい、ということ。全長3865mm、全幅1735mmの2シーターで、サイズ的にはマツダ・ロードスターとほぼ同じ。リア側にモーター類がギッチリ詰まっているので、レイアウトとしてはミッドシップですが、同じくミッドシップのホンダ・S660よりもだいぶ大きい。
さらに特筆すべきはその車重で、EVにも関わらずなんと850kgと超軽量。大容量バッテリーを積んでなおこの軽さをキープしているのは、スポーツカーとして最大のメリットですね。
新生トミーカイラZZは、バッテリーやモーターなどが組み付けられたアルミ製シャシーの上に、FRP製のボディが載っているというシンプルな構造。聞けばこのシャシー(プラットフォーム)、国内外から購入のオファーが絶えないのだとか。これさえあれば、ボディだけ別に造って載せることで全く違う外観のEVカーが制作可能なわけです。そう考えると、非常に革新的(かつ太っ腹)なビジネスと言えますね。
グイッと加速する感じはEVならでは
いざ試乗へ。EVなのでトランスミッションは固定、インパネも非常にシンプルで、スイッチ類はほんの数個。操作だけで考えると、運転は気が抜けるほど簡単です。
が、アクセルを踏んだ途端、立ち上がりの加速にビックリ! そっと踏んだだけでグイッと前に出る感じはEVの特性でもありますが、踏み込むごとに素早く滑らかに、力強く加速していきます。正直、ちょっと怖いくらいです。仮に最高出力305ps、最大トルク415Nmを余すこと無く発揮したら、どれだけの加速とパワーを見せるのだろうか……トミーカイラZZ、恐ろしい子!
レスポンスの良さと素直な加速はもちろん、地面に吸い付くようなコーナリングも楽しい。造りも操作もすべてがシンプルなので、無駄なことを考えずに純粋に走りを楽しむことができる。トミーカイラZZは、EVカーである前に本格的なスポーツカーであろうとしているんだな、という印象を強く感じました。
フル充電での航続可能距離は120km
その他に気付いた点としては……
- エアコンやヒーターはありません。着脱式の幌はありますが、それ以前に窓がありません(!)。冬は完全防寒で挑みましょう。
- 走行中の風の巻き込みには覚悟してください。髪の乱れなどは諦めて、ぜひ風と一体になっていただきたい。
- ブレーキとステアリングは重めです。その辺はスポーツカーなのだからがんばりましょう(笑)。
- 気になるバッテリー充電に要する時間は、急速充電の場合は30分、家庭用の普通充電(200V)だと8時間。航続可能距離は約120km。長くはないですが、休憩しつつ充電しながら乗るのがよろしいかと思います(フルオープンで走っているとホント疲れますし)。
まとめ
失礼な話で恐縮なのですが、最初は“実際に乗れちゃうオモチャのスポーツカー”的なイメージを持っていました。が、細部まで丁寧に仕上げられていることはもちろん、見た目がとてもカッコいいこと、走りがおもしろい(そして速い)こと、なによりも最先端技術を凝縮したEVスポーツカーであること、すべて合わせて非常に魅力的だと思います。気になるお値段は、800万円(税別)。1台1台手作業で組まれるプレミアムEVスポーツカーと考えれば、それほど高価ではない、かもしれませんね?
なお2016年5月5日にはオートバックス東京ベイ東雲にて体験試乗会があるようです。助手席に座ってドライブができるとのこと。興味ある方はぜひ!
<SPECIFICATIONS>
ボディサイズ:L3865×W1735×H1140mm
車重:850kg
駆動方式:2WD
バッテリー:Liバッテリー
トランスミッション:1速固定
最高出力: 305ps
最大トルク:415Nm
価格:800万円(税抜)
取り扱い:GLM http://tommykairazz.com
(取材・文・イラスト/三才はるな)
クルマ、自転車、オートバイ、旅行関連メディアで活動するエディター・ライター。書籍やムックの編集にも携わる。基本的に「タイヤのついた乗り物」ならなんでも興味アリ。一輪から四輪まで、さまざまな乗り物に触れて操る楽しさを、わかりやすく伝えるのがモットー。
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