井上 晃(井上)「格安SIMの注目度がだいぶ高まりました。村元さんと今西さんは、既に格安SIMでスマホを運用しているとのことですが、実際のところ格安SIMってどうですか?」
村元正剛(村元)「ダメですね」
今西絢美(今西)「そんなド直球な!(笑)」
村元「格安SIMを提供している事業者(MVNO)には、ベンチャー系の小さな企業が多いですからね。変なところを選ぶといきなり会社がつぶれてサービス停止になる可能性だってありますよ。5年後に続いているところは限られるんじゃないかな」
今西「あーなるほど。もし選ぶなら『OCNモバイルONE』とか、『楽天モバイル』とかある程度大手が提供しているサービスが良いってことですね。プロバイダーとしてのノウハウも持ってますし」
村元「そうそう、あとは『IIJmio』とか『BIGLOBE SIM』とか、MVNOの中でも老舗っぽいところなら比較的安心かな。まぁでも一番安心なのはやっぱりキャリアで契約することだと思いますよ」
井上「なるほど。今西さんはどうですか?」
今西「私は格安SIMもアリだと思います。使いかた次第ですけど、キャリアで使う場合より、月額料金を1/3程度に抑えられるのも事実だから。節約志向なら検討して良いのではないかと」
井上「3GB/月の通信量が使える音声通話プランの相場が、大体月額1700円(税込)+通話料ですからね。ちなみに、格安SIMをメインの端末用で運用しても大丈夫だと?」
今西「うん、私は大丈夫だと思いますよ。最近は格安SIMでも『端末補償』のオプションとか、トラブル時のサポート体制づくりをしているサービスも増えてきましたから」
村元「えー、どうかな。端末補償があっても、キャリアみたいにサポートショップが身近にあるわけじゃないからね。いざスマホが壊れたときに『代替機を用意するのにあと何日かかる』とか言われたら困っちゃうでしょ」
今西「ホームページをよく見て『当日中に手配してくれる』って書いてあるかどうか確認しなきゃいけませんね。こういう確認を自分でしなきゃいけない手間はありますね。井上くんはどうですか?」
井上「んー、記事を書くときの検証でよく格安SIMを使ってますけど、実効速度とかはやっぱりキャリアの方が良い気がしますね。マニアックですが、PINGの計測値にも差がありますよ」
今西「あー、確かに。格安SIM回線でSNSとかを開こうとすると、すごく時間がかかるときもあるなぁ。快適に使えるかどうかは、時間帯や場所によって差が大きいかも。このあたりのデメリットを理解したうえでどこまで妥協できるかが、格安SIMを選択すべきかどうかの判断指標になりそうですね」
音声通話対応って必要なの?
井上「僕は格安SIMの料金プランについて、全部追いかけてリサーチしているんですけど、もうプラン総数がとんでもないんですよね。データ専用SIMと音声通話SIMを合計すると約300プランはありますし、もしSMS対応の有無を考慮したら450は越えるかと」
今西「もう選ぶのがしんどいですよね。2年前だと半分以下しかなかったのに」
井上「当時はデータ通信専用のプランが大多数を占めていましたけど、最近は音声通話対応プランが充実してきた印象ですね。ところで、音声通話対応、つまり090・080・070から始まる電話番号って必要だと思いますか?」
村元「んー、僕は必要ないかなぁ。IP電話アプリとか使えば、データ通信SIMでも通話できるから。月額料金もなるべく抑えたい。それに、格安SIMではそんなに通話しないし」
井上「村元さんは、キャリアで通話し放題プラン契約してますからね」
村元「そうそう。あっ、でもスマホで格安SIMを使う場合には、データ通信プランでもSMS対応のSIMを選んだ方がよいですね。データ専用SIMを挿入した時に電池消費が速くなってしまう、いわゆる『セルスタンバイ問題』を解消できる。それにLINEとかの認証でSMS使えないと困るから。まぁ、月額料金は300円くらい高くなっちゃうけど」
井上「今西さんはどうですか?」
今西「んー、私は音声通話ありの方が良い。データ通信SIMと比べると月額700円くらい高くなるけど、結構通話もするから。IP電話だと通話音声の遅延が気になるし、メインで使うなら音質にもこだわりたいな」
井上「データ通信SIMでも結局SMS対応にするなら、月額料金の差は+400円くらいだと考えることもできますね。まぁ、通話料もかかりますが」
今西「格安SIMは通話料が従量制だけど、最近は『楽天でんわ』みたいに通話料が半額になるサービスが増えてきたから、上手く使えば安く抑えられますよ。月額いくらで1回5分以内の通話が無料になる通話定額制オプションもあるし」
井上「あとは、IP電話だと110とか119にかけられないことも知っておきたいところですかね。緊急時のことを考えると電話番号はあった方が良いのかも」
村元「緊急時は固定電話あれば大丈夫じゃない?」
井上「あっ、確かに(笑)。でも音声通話対応なら万が一のときに安心ですよ」
通信量は 3GBあれば充分?
今西「そういえば、通信量ってどのくらい使いますか?」
井上「3週間くらいで7GBオーバーしますね」
今西「えっ、それは使いすぎでしょ(笑)。私も動画とか、SNSとか結構使うけど、Wi-Fiありきで使ってるから月3GBあれば充分足りるよ?」
井上「あー、僕の場合、電車の通勤時間が長いですからね。公衆Wi-Fiだと上手くつながらないから、どうしてもモバイル回線で通信しちゃって」
村元「使い方によるよね。外出時のメールチェックと地図表示くらいだったら、3GBあれば充分かな。僕はサブ的に使っているからもっと少なくて良いかも」
井上「プラン選びだったら、ほかにどんなところチェックします?」
今西「公衆Wi-Fiが付いているかどうかって重要じゃないですか。低容量のプランを選ぶ場合は特に。あっでも、コンビニとかスタバでWi-Fi使うなら必須ではないかも」
村元「翌月とか翌日に容量を繰り越せるかどうかが重要だと思いますよ。その方が無駄なく使える」
井上「なるほど。僕は細かいところですけど、低速通信時の速度差も少し気になります。300~400kbpsならそこそこブラウジングできるけど、100kbps程度だとwebページによっては表示するのが厳しいという印象ですね」
村元「最近は最初の通信速度をコントロールしている場合も多いよね。通信の最初だけ高速化して、低速プランでもWebサイトを表示できるようにしてる。ユーザーメリットは高いですよ」
端末代はどうすれば安く抑えられる?
今西「端末ってどうするのが良いんでしょうね? SIMフリー買うんだったら2万円くらいのモデルで試してみるとか。HUAWEI Y6とかZenFone Goあたりで」
村元「NTTドコモの端末を持っている人だったら、NTTドコモの回線を使った格安SIMをそのまま使えますよね。昔使っていた端末をサブ的に運用してもいい」
井上「テザリングは制限されますけどね」
今西「auの端末も、『mineo』とか『UQ mobile』ならそのまま使えますよね。あえてSIMフリー端末買わなくても良いのかも」
井上「あと、2015年の5月以降に発売された機種なら『SIMロック解除』をする手もありますよ。iPhone 6s/6s Plusあたり持ってたら狙い目ですね」
(文/井上 晃)
スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。
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