どちらかというと画一的なデザインでエキソト商業施設「LUMINE」を展開してきたルミネにおいて、気鋭のクリエーター総動員で手がけた「NEWoMan」は、かつてない“新しい試み”といえる。まず、デザイン全体を統括するディレクターに、建築業界ではまだ“若手”といえる大野力氏(sinato代表)を起用したことが大きい。
その大野氏いわく、デザイン全体において大きな鍵をにぎっているのは「外部と内部の境界線の曖昧さ」である。たとえば、新南口直結のメインエントランスエリアから内部へのアプローチ。ここでは、エントランス共用部から店舗へと連続(または対比)する床材によってあえて境界線が“曖昧”にデザインされている。建物外部で使われている床材が、エントランスをくぐってもそのまま内部へ引き込まれ、テナント共用部へと連続。床材はかなりマニアックなテーマだが、たしかに意識して見てみるとおもしろい発見があるのだ。
「設計における1番のポイントは、“対比”によって視角化されている境界をあえて曖昧にすること」。「外部から内部へと引き込んだ床材もそうですが、たとえば店舗の天井を共用部にはみ出させたり、逆に共用部の天井を店舗に入り込ませたり、店舗同士の間仕切り壁を一部ガラスにして隣同士を視覚的につなぐことで境界線がどこなのかが分からなくなっています」と大野氏。その狙いは、「店と店をつなぐ通行空間としての商業施設ではなく、“さまざまな店舗を内包するひとつの大きな店舗”としての商業施設をつくるため」である。
中に踏み込んでみると確かに、店舗と共有部の境界、店舗同士の境界がおもしろいぐらい「曖昧」になっているのが分かる。床、壁、天井、それぞれのディテールをこの「連続感」=「境界の曖昧さ」をキーワードに眺めてみると、全体を通じておもしろい発見がある。
他にも、グラフィックや音楽、照明にいたるまで“旬”なクリエイターを多数起用した贅沢な布陣にも注目したい。
旬なデザイナーたちのショーケース!ショップの設計を手がけるクリエイターが贅沢!
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「Blue Bottle Coffee」もそうだが、1Fにはエリア初出店となる「AKOMEYA TOKYO」、3Fにはジュンがフードディレクター浅本充氏との協業で提案するサロン・ド・テ スタイルのレストラン「SALON BAKE & TEA」など、“食”を切り口にノンジェンダーで楽しめる店も多い。
また、各フロアの共用部で川本氏が手がけるプラントデザインにもぜひ注目してほしい。なかでも特に、4Fのトイレ(女性用)は圧巻なパフォーマンス。鏡の映り込みを利用して、中央にある植物を万華鏡のような効果で見せる演出に、思わずトイレであることを忘れて見入ってしまいそうだ。
ファッションだけでなく、イベントホール「LUMINE 0」、ナーサリー「キッズハーモニー・NEWoMan」、その他クリニックや薬局など、生活そのものをサポートするサービスも充実する「NEWoMan」。4月15日(金)には、朝7時から28時まで21時間営業するフードホールや、新業態や初上陸、エリア初出店が盛り盛りのエキナカ/エキソト計38店舗が一挙オープンしている。
【NEWoMan(ニュウマン新宿)】
東京都新宿区新宿4-1-6
03-3352-1120(代表)
1F~4F・7F 11:00~22:00
2F エキナカ/エキソト 8:00~22:00
2F フードホール 7:00~28:00
https://www.newoman.jp
(文/松浦 明)
英国・ロンドン「Sotheby's Institute of Art」で西洋美術史を学び、帰国後は美術図録の編集に携わる。ギャップ出版入社後、ライフスタイルマガジン『gap』や数々の書籍の企画・編集を手がけ2003年に独立。現在は雑誌・ウェブマガジンでの記事執筆、食ブランドや企業のフリーペーパーなどの企画・編集等を手がけている。
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