今回ドライブしたグレード「20dピュア」は、ディーゼルエンジンを積むエントリーモデル。注目のディーゼルエンジンは遮音材の違いのためか、XFのディーゼル仕様ほど静かではなかったが、ボディが軽い分、加速はXFより明らかに強力。
ガソリンエンジンと比べれば、もちろん、高回転での伸びは劣るが、例えば、V6ユニットなどと比べて鼻先が軽いため、生粋のスポーツサルーンを目指したXEには、かえってピタリとマッチしていた。
乗り心地や静粛性は、兄貴分のXFには及ばないが、軽量コンパクトなボディによるドライバーとクルマとの一体感や、ビビッドなハンドリング特性、優れた動力性能など、スポーティネスにおいてはXEの方が間違いなく上をいく。道中のワインディングロードをより楽しく走れたのは、XFよりもXEの方だった。
そんなXEで「いまひとつだな」と感じるのは、ライバル、特にCクラスやA4と比べると、質感が見劣りするインテリア。中でも、いまだにDVD方式を採用するナビゲーションシステムには、古さを感じてしまった。
もっとも、XFのナビ&インフォテインメントシステムは、HDDを飛び越え、一気に60GBのSSD仕様となっているから、XEも近い将来、最新式に換装されるだろう。
497万円~という価格を含め、最新のディーゼルエンジンを搭載したXEの商品力は、かなり高い。ジャーマンブランドでは味わえないアンダーステートメント性や、洗練されたスポーティネスを求める人にとって、大いに魅力的な1台であろう。
<SPECIFICATIONS>
☆20dピュア
ボディサイズ:L4385×W1850×H1415mm
車重:1660kg
駆動方式:FR
エンジン:1999cc 直列4気筒 ディーゼル ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:180馬力/4000回転
最大トルク:43.8kg-m/1750〜2500回転
価格:497万円
(文/岡崎五朗、写真/工藤雅夫)