フロントに搭載されるのは“GD”と呼ばれる新開発のディーゼルユニット。これまでよりも少量の軽油をしっかり燃やしながら、加熱を抑えつつ、熱が逃げるのも防ぐという、燃料を無駄遣いしないための細かい工夫が施されます。
具体的には、従来よりさらに高圧化した“コモンレール式燃料噴射装置”を備え、ますます精緻に燃料をシリンダー内に噴射できるようになりました。ピストンの頂部には、“TSWIN”こと“シリカ強化多孔質陽極酸化膜”という特殊なコーティングを施し、燃焼時の損失を抑えています。
ディーゼルエンジンと相性のいいターボチャージャーも小型効率化。レスポンスの良さと広いトルクバンドが、GDユニットの自慢です。
ディーゼルエンジンというと、フォルクスワーゲンの排ガス不正事件の影響もあって、環境面で不安をおぼえるかもしれませんが、その点、プラドに積まれる1GD-FTVエンジンは“尿素SCR”システムを備えます。
これは、排ガスにアドブルー(尿素水溶液)を噴射することで、有害な窒素酸化物(NOx)を、最終的には窒素と水に還元する仕組み。メルセデス・ベンツのディーゼル車や、つい先日、新しいディーゼルユニットを日本でリリースしたジャガーも、同様のシステムを採用しています。
定期的にアドブルーを交換するという手間は生じますが、国やブランドを超えて使われる、確実な浄化方法というわけです。
ディーゼルエンジンのもうひとつの課題が、PMと呼ばれる排ガス中の微粒子です。プラドの場合、排気管中に備えた“DPR触媒”で粒子状物質をキャッチし、一定量になるとフィルターの温度を上げて、溜まったPMを燃焼・除去します。尿素SCRと同様、こちらも堅実な手法を採っていますね。