帰ってきた「nasne」のキモはやっぱり熟成が進んだ“torne”でした

■懐かしの“torne”アプリがそのまま復活!

バッファロー版nasne「NS-N100」の外見は、従来のnasneとほぼ変わらず。オリジナルのnasneは、元々はSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント、現ソニー・インタラクティブエンタテインメント=SIE)がPS3向け、そしてPS4、PS VitaなどのPSファミリー向けの周辺機器として発売した録画デバイスです。仕組みが特殊で、nasne自体にテレビ出力などは搭載せず、PSファミリー製品向けの“torne(トルネ)”アプリで連携し、見た目上は外付け録画チューナーのように動作します。

では、バッファローから発売となったnasneはどうなっているのか。実際に我が家で使ってみました。

▲新nasne(左)とPS4(右)

と思ったのですが、いきなり問題が。我が家のゲーミング環境は既にPS5に移行済みなのですが、視聴アプリ“torne”にはPS5版がない(2021年末リリース予定)。そこで、PS4を引っ張り出して検証となりました。ちなみに、我が家にはPS Vitaもあるのですが、残念ながらバッファロー版nasneは非対応でした。

もうひとつ面食らったのがネットワーク接続です。Wi-Fiで繋げばいいや…と思っていたら、なんと有線LANのみ。たしかにnasneが現役だった当時はWi-Fiも普及途上だったな、なんて思わず懐かしくなってしまいました。結局、ルータから有線LANで接続することになり、PS4本体から離れた場所に置かざるをえなくなったのはご愛嬌。

PS4版の視聴アプリ“torne”は、オリジナルのSIE版nasneと同一のものを使うので、元ユーザーとしては、これまた懐かしい。操作はゲームのUIっぽくPS4コントローラーの十字ボタンで動かすのですが、デジタルなのにカーソルを動かすのではなく上下左右というところに時代を感じます。

そして“torne”名物と言えば、ゲーム機基準で設計された超高速レスポンス。PS4のパッドで番組表を操作してみると、相変わらずの激速です。パッドの上下キーを押すと軽快なタタタタという音と共に瞬時に画面がスクロールしてく様子は、今どきの4Kテレビとは比べものにならないぶっちぎりの超スピード。ボタンを押してサクサク進む録画予約の流れもスムーズです。

録画機としては1チューナーのシングル録画なので時間重複には少々気を使いますが、nasneは4台まで増設して一元管理が可能で、元のSIE版nasneも“同時録画したければ買い足して複数台にすればいい”という思想でした。ちなみにnasne 1台あたりの録画時間は標準(3倍録画モード)を活用すれば最大約386時間となります。

そして個人的に“torne”らしさを感じるのが“トルミル”です。これは他の“torne”ユーザーの視聴や録画数をネットワークを通して自動集計して表示する機能で、放送中にいま人気のチャンネルが分かったり、“みんなが録画予約している番組”なんて基準でも検索結果の並び替えが可能。“torne”はいまでも一定数のユーザーがいるので“トルミル”もちゃんと機能しています。以前は“ニコニコ実況”と連動する機能も実装されていたのですが、残念ながらニコニコ実況側の仕様変更により2020年12月に終了してしまいました。

思わず“懐かしい”ばかり連発してしまいましたが、実はnasne、しっかりスマホにも対応していて、セットアップも録画予約も視聴もiOS/Android用の専用アプリ“torne mobile”(有償)が利用でき、PSファミリーの製品ナシでも運用可能です。録画予約はもちろん、TV番組のライブ視聴、モバイル回線経由で録画番組の視聴もできます。スマホでテレビ放送を見られるデバイスとして導入するのはアリですね。またWindowsPCでは“PC TV Plus”(有償)が利用できます。アプリに関しては歴史の長さもあり完成度は高くなっています。

バッファロー版nasne「NS-N100」の登場は、懐かしのnasneが帰ってきた!といううれしさいっぱい。いまどきのレコーダーと比較すると、1チューナーだし、4K放送は非対応だし、Wi-Fiも非搭載だし、仕様面で若干古さも感じてしまう。ただ、アプリ“torne”の完成度の高さは当時のままで、今でも録画機として使えるレベルです。現役nasneユーザーの買い替えはもちろんですが、思わず懐かしくなって反応してしまった人もバッファロー版nasne「NS-N100」でnasneユーザーに復帰はアリかもしれませんよ。

>> バッファロー「nasne」

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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