■これがAmazonの考えるリビングの未来
構造は、10.1インチのHDパネル(1280×800ドット)のディスプレイに、スピーカー部をアームでつなげたようなカタチ。そして13メガピクセルのカメラとマイクを搭載しています。本体重量は2.5kg。画面の外寸は251×172×230mmもあるので、スマートスピーカーとしてはちょっと大きめですね。
Echoシリーズの製品なのでAmazon Alexaの音声ボイスアシスタントを利用することが前提です。セットアップでは、Wi-Fiに接続してAmazonのアカウントにログインしていく流れです。
そして「Echo Show 10」最大の特徴となるのが、左右350度のディスプレイ回転機能。セットアップ時に、「壁置き」「コーナー置き」などの置き場所の影響や、実際に稼働する範囲を確かめるテストがあるので、嫌でも回転を意識することになります。ちなみに今回は、リビングでAV家電などが置いてあるラックの上に設置して、壁側ではない180°程度をカバーするようにセットしました。
ひと通りのセットアップが完了すると、何も操作しなくても置き時計のように時刻やニュースを表示してくれます。
10.1型のHDスクリーンはタッチ操作対応になっているので、タッチメインでも利用できるし、「アレクサ、○○」とスマートスピーカーらしく音声操作もできます。僕の中の認識では、この「Echo Show 10」はスマートスピーカー的な存在になるので、今回の検証では基本的に音声操作をメインにしてみました。
例えば、「アレクサ、音楽を流して」と声を掛けると、AmazonMusicのおすすめステーションが再生。選局はアーティスト名やアルバム名を直接言ってもいいし、タッチ操作で検索も可能です。音楽再生中は、画面で歌詞が流れます。ただそれだけなのですが、なんだか操作に安心感があります。しかも音質が良い。歌声をクリアに立たせつつ、中低域の音に深みも持たせて音を広げるバランスで、好印象です。
タッチ操作で「ビデオ」を開くと、プライム・ビデオの他にNetflix、Paravi、ひかりTVも選べます。でも、そんなことをするまでもなく「アレクサ、プライムビデオを開いて」とか、「アレクサ、ボヘミアン・ラプソディを見たい」と声を掛けると再生スタート。ここまで来ると、映画を流すのも音楽感覚です。
さすがに10.1型のHDスクリーンは映画用としては小さいので、デスクトップ用途ですね。それに、部屋の中で歩き回ると「Echo Show 10」の画面が追従して向きを変えてくれるんですが…ちょこちょこ動き過ぎて集中できないかも。
なお、YouTubeは「アレクサ、YouTubeで○○を見たい」と声を掛けるとブラウザが起動してYouTubeで検索してくれます。ただしブラウザ画面なので、そこから先は音声操作はできません。
タッチ操作するとヌルヌル動いてくれて、もちろん動画再生ができるのですが、ここは最後まで音声で操作したかったところですね。いや難しいのはわかってますが…。
そして、マイクとカメラもAlexaに連動させられます。おそらくメインの使い方はAlexaアプリ経由のビデオ通話なのですが…日本国内の普及状況もあって、残念ながら通話相手が見つからず…。海外だとZoom対応の機能もあるようですが日本国内は未対応です。
一方、おもしろかったのがスマホ用のAlexaのアプリからカメラにアクセスする機能。これって要するに、「Echo Show 10」を“おうち見守りカメラ”的に使るということ。これがあれば、外出先から自宅のペットの様子を見られるし、スピーカーとマイクで相互通話もできます。これシンプルに、家にいる家族と会話する目的でも使えるってことですね。
ただ、ペットカメラ視点で言うと、画面内蔵のカメラを下に向けられないので(上向きは手動調整で可)、床に設置する必要がありますね。なお、アクセス中は画面に表示が出るし、プライバシー対策としてカメラは物理的に隠せます。
* * *
「Echo Show 10」に触れてみて感じたのが、“これって未来のリビングの理想系を作ろうとしているデバイスなんじゃ”ということ。
いつも自分の方を向いていて、AmazonMusicの音楽もプライム・ビデオも簡単に流せて、おまけに自宅の見守りカメラにもなって、日本導入はまだだけどZoomなどのビデオ会議クライアントにもなる。さらに、Amazonフォトと連動してフォトフレームにもなるし、スマートホーム機器のハブ機能もあります。今どきの未来的なリビング生活を全て水準以上に快適に実現しくれて、2万9980円。正直、コスパはかなり高いと思えてしまいました。
<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長
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