試乗したのは、6スピードのMT車。さほど重くないクラッチペダルを踏んで走り始めると…、イイですね！ クラッチのミートポイントが、ことさら奥でも、手前で唐突につながるわけでもなく、気を遣うことなくギヤチェンジできます。
220馬力の2リッターターボは、わずか1500回転で35.7kg-mの最大トルクを発生しますから、少々ずぼらなシフト操作も受け付けます。また“ヒルホルダー”が装備されるので、登り坂で停車しても大丈夫。走り出す際にクラッチを切っても、自動でブレーキをかけてクルマのズリ下がりを防止します。「どうも坂道発進が苦手でさぁ…」という人も安心です。
ゴルフボールのような形状をした、大きくて丸いシフトレバーを「グワシ！」とつかんでギヤを上げていくと、野太い排気音がグングン高まって、ドライバーを鼓舞します。
直噴ターボは、太いトルクを「ズロン！」とトコロテンのように押し出すタイプなので、エンジンをブン回してパワーを絞り出す…という楽しみ方とはちょっと異なりますが、それでいてペダル操作に対するレスポンスは俊敏。キャリパーが赤く塗られたブレーキで「キューッ」とスピードを殺し、軽くブリッピングしてからギヤを落とすと、これが小気味よく決まる！ MT車を運転する醍醐味ですね。
サスペンションには、GTI専用のセッティングが施され、適度に締まった乗り心地がいかにもスポーティ。21世紀のGTIらしく、走行モードを変える“ドライビングプロファイル機能”、可変ダンピングシステムのアダプティブシャシーコントロール“DCC”、ハードコーナリングの際、必要に応じて内輪にブレーキをかけてLSDの替わりを果たす電子制御ディファレンシャルロック“XDS”など、新しい技術を満載しますが、やはり“デキのいい機械”をダイレクトに動かせることこそが、ゴルフGTI 6MT仕様をドライブするキモでしょう。
いまや、特別なスポーツモデルを意味するようになった感のある3ペダル式マニュアルギヤボックス。貴方の潜在能力を再び活かせる時が来ました!? 昔取った杵柄を握って、ちょっぴり豊満になったマドンナに会いに行ってみてはいかがでしょう？
＜SPECIFICATIONS＞
☆GTI（6MT仕様）
ボディサイズ：L4275×W1800×H1450mm
車重：1390kg
駆動方式：FF
エンジン：1984cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション：6MT
最高出力：220馬力／4500〜6200回転
最大トルク：35.7kg-m／1500〜4400回転
価格：389万円
（文＆写真／ダン・アオキ）
