異色のスタイルを普段使いできるのがハスクバーナ「スヴァルトピレン250」の面白さ

■ラインナップが充実したスヴァルトピレン

“白い矢”を意味するヴィットピレンは、鋼管を三角に組んだ“トレリスフレーム”にリアを切り詰めたボディを載せ、セパレートハンドルでスポーティを強調するスーパーモダンなカフェレーサー。姉妹車の“黒い矢”ことスヴァルトピレンは、ダートを意識させるブロックタイヤを履かせ、グリップが高い位置に来るワイドなバーハンドルを備えます。

ヴィットピレンのコンセプトモデルが発表されたのは2014年。その3年後にヴィットピレンとスヴァルトピレンの市販モデルがデビューしているので、すでに4年余りの年月が経っていますが、見た目の新鮮さはいささかも色あせません。

個人的には、個性が求められる輸入バイクなので、より過激なルックスのヴィットピレンの方が「人気が出るのでは?」と踏んでいたのですが、実際には、相対的にポジションがラクなスヴァルトピレンの方が売れているとか。

2021年のラインナップにもそれが表れていて、ヴィットピレンは373cc単気筒を積む「401」(70万円)のみと、ちょっぴりさびしいラインナップ。一方のスヴァルトピレンは、同じく373ccの「401」(71万5000円)、248.8ccの「250」(61万5000円)、そして新たに125ccの「125」(53万9000円)が加わりました!

ちなみに、どちらのモデルからも、692.7cc単気筒エンジン搭載の「701」がカタログから落ちました。残念。

■エンジンを存分に楽しめるスヴァルトピレン125

スタッフの人によると、スヴァルトピレンの売れ筋は401なのだそう。71万5000円という価格はヤマハ「SR400 ファイナルエディション リミテッド」(74万8000円)と同レベルですから、ほれた人なら“納得の価格”といえるかもしれません。

ビッグシングルのアウトプットは、最高出力43馬力/9000回転、最大トルク3.8kgf-m/7000回転。低回転域からのトルクの厚さもあって、152kgの車体には十分以上。スタイリッシュでいながら、どこか“土”のにおいをさせるスヴァルトピレンにふさわしい、力強い走りを見せてくれます。

注目のニューモデル、スヴァルトピレン125は、これはもう、エンジンを楽しむためのバイクですね! ボア×ストローク=58×47.2mmのショートストロークエンジンは、ツインカムのヘッドメカニズムを得て、15馬力/9000回転の最高出力と、1.2kgf-m/7500回転の最大トルクを発生。疾風のように吹き抜けるシングルシリンダーで、9000回転の最高出力発生ポイントをあっさり超え、1万回転の領域に飛び込みたがる高回転型です。

しかも「その気になって」フルスケールぶん回して走っても、125ccのありがたさ!? 実際の速度は現実的な範囲に収まります。これは面白い! 上位モデルと同等のサスペンションとブレーキが、存分にエンジンで遊ぶ余裕を担保してくれます。贅沢な“ゲンニ”(原付二種)バイクです。

■250は3500回転も回せば過不足ない力強さ

そんなスヴァルトピレン一族にあって、やや地味なのがクォーターモデル。でも、注意深く見ると、他の2車種とは少し違った個性が光ります。

まず足下は、前110/70R17、後150/60R17のタイヤサイズこそ同じですが、スポークホイールの401と125に対し、キャストタイプを履きます。また、身長に恵まれないライダーにとって見逃せないポイントが、他の2車より25mm低い810mmのシート高です。

走り始めれば、硬めの足回りと剛性感の高いフレームが印象的。248.8cc単気筒は、やはり高回転までスムーズに吹けるエンジンで、シフトアップインジケーターが点灯する8000回転辺りが勝負領域。とはいえ、3500回転も回しておけば過不足ないアウトプットを供給してくれる高い実用性も併せ持ちます。

スヴァルトピレン250は、見かけとは裏腹に、ピーキーさのない素直なハンドリングの持ち主なので、普段使いもそつなくこなしそう。速度が上がるにつれ、安定感が増すのもポイントが高い。異色のスタイルを日常的に楽しみたい人には、むしろ「これくらいがイイ!」のかもしれませんね。

<SPECIFICATIONS>
☆スヴァルトピレン250
ホイールベース:1357mm
車両重量:153㎏
エンジン:248.8cc 単気筒 DOHC
トランスミッション:6速MT
最高出力:31.3馬力/9000回転
最大トルク:2.44kgf-m/6750回転
価格:61万5000円

>>ハスクバーナ「スヴァルトピレン250」

文&写真/ダン・アオキ

ダン・アオキ|15年ほど出版社に勤務し、クルマ専門誌、カメラムックなどの編集に携わった後に独立。フリーランスの“カメライター”になる。現在は、2輪・4輪のコンテンツ制作を担当するほか、女性を被写体とした人物撮影も行っている。

 

 

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