テスラモーターズのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏は、宇宙企業・スペースX社のリーダーでもあります。
そのスペースX社は先頃、軌道に衛星を届けて戻ってきたロケットを、洋上の着陸施設にお尻から垂直着陸させるという、前代未聞の荒技を成功させました。その偉業に比べれば、クルマの車庫入れなど取るに足らないことのようにも思えますが、実は車庫入れこそが“すべての始まり”といっても過言ではありません。
すべて、とは、これから始まる自動運転時代のこと。OSをアップグレードし、アプリをインストールすれば機能を拡張できるスマートフォンのように、テスラのEVもまた、さまざまな機能をアップグレードによって付加することができるんです。
実際これまでに、平均して週に20項目もの改良をテスラは重ねてきました。そうした改良や変更を重ねた先にあるのは、自動運転の実現にほかなりません。
自動運転を想像すると、真っ先に思い浮かぶのは、市街地や高速道路を走るシーン。ただ、それらの最初にあるのは、パーキングスペースからクルマを出すこと。そして自動運転の最後には必ず、ガレージなどへの駐車が伴います。つまり、駐車を制することなしに自動運転は始まることなく、終わることもないのです。
単なる自動駐車システムではなく、来るべき自動運転への第一歩。それがサモンというわけです。ちなみにサモンとは、カモン(COMMON)より命令のニュアンスを強めた言葉とのこと(初めて聞きました)。
これまでも、駐車をサポートする技術は存在しましたが、サモンは運転席に誰かが座っていなくても、車外からスマホと専用アプリを使って、駐車スペースへの出し入れができます。
狭くてわずかしかドアを開けられないような場所でも、乗り降りの際に無理にカラダをねじ込まなくていいのです(モデルSの全幅は1950mmと堂々たるものなので恩恵は大きい)。
先に発表されたBMW「7シリーズ」も同様のシステム“リモート・パーキング”をオプション設定していますが、リモート・パーキングが前進での駐車に限定されているのに対して、サモンは後進での駐車もOK。しかも、すでにオーナーの元へ納車されているモデルSも、ネットを介したソフトウェアアップデートによってサモンが使えるようになりました(しかも無料。むしろ、こういった仕組みの方がよりトピックスであるといえるかも)。