北欧らしいミニマルさが際立つEARIN「A-3」はコンセプトが個性的!

■ミニマムだけど意外と落ちない

開封したその瞬間からEARIN。北欧スウェーデンのブランドらしい、シンプルで洗練されたパッケージングです。

そしてサイズは超小型。イヤーピースすらないオープン型で、片耳の重量は実測約4.2g。指先でつまむようなサイズ感で、デザインまでミニマムを徹底しています。IP52の防塵防滴ですが、防滴2は本当の最低限ですね。

装着したサイズ感は、まさに耳に収まる大きさ。

“EARIN”とロゴが入った面が少しだけ前に張り出すカタチになります。今までにない極限までミニマム化されたデザインですね。

僕の耳だと、耳の内側にしっかり引っかかるので落ちる心配はなさそう。イヤーピースがないので固定力は弱く、密閉せずにそっと置くイメージです。周囲の音も基本的に聞こえます。なお、イヤホンからの操作はタッチ操作ですが、再生系操作や音声アシスタントの呼び出しのみになります。

ちなみに左右同一形状で、左右どちらに装着しているかは自動検出。さらにいうと、片耳だけ取り出して音楽も聴けます。だからパートナーに片耳だけ貸して一緒に音楽聴くような使い方もできます。うーんお洒落。

だから充電ケースのイヤホンを入れる穴も同じ形状のものがふたつある。どちらに入れても充電可能です。イヤホン単体では最大5時間再生、充電ケースを使うと最大30時間利用できます。ケースはワイヤレス充電にも対応しています。

スペックは、クアルコム社のQCC5121チップ採用でaptXコーデック、またAndroidスマホ向けにはTWS+に対応。ただ、音楽リスニング時のノイズキャンセルには非対応となっています。

iPhoneとペアリングして宇多田ヒカルの『あなた』を聴いてみると、歌声が高域まで伸びやかで、音楽に自然に包み込まれるようなサウンドです。中域の情報量も豊富で、想像以上に楽器の音も埋もれず聞こえるし、聞いていて心地よさが抜群。低音は強くはないですが、十分じゃないかと。BrunoMarsの『24K Magic』でも、重低音は抑えめの音量で聞こえつつ、軽やかでいい音。AndroidのaptX接続でも同じ傾向のサウンドでした。

音切れのテストも兼ねて混雑した都内の駅や電車内で聞いてみても接続は安定していました。ただ、外で使う前提として考えると“基本的には周囲の音が聞こえるイヤホンである”ということは念頭に置くべき。音楽を流していても電車の走行音や喧騒まで全部聞こえてきます。

通話用マイクには、Knowles社マイク2個と、音声認識用を2個搭載とのことで期待したのですが…。MacBookとペアリングしてZoomでテストしてみると、空間の音を上手く拾うけど通話音声はクリアとは呼べず。Web会議で実戦投入したら、他の参加者に「声が聞こえづらい」と言われてしまうかも…。

このEARIN「A-3」、とにかくセンスの良さが光るアイテムだと思うんです。完全ワイヤレスイヤホンは普及してはきたけれど、やっぱり手軽さと快適さも重要だよねっていう最近の風潮を捉えている。そしてオープン型イヤホンとしては、とても音質がいい。ただ、音楽リスニング時のノイズキャンセルなしで実勢価格2万7800円となると、コスパで選ぶ製品ではありません。上質なプロダクトを手にして音楽と共に日々を過ごしたい、EARIN「A-3」はそんな人にお勧めしたいですね。街中で見かけたら、カッコイイですしね。

>> EARIN

 

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長

 

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